YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.5.7開催(立川会場)

2016.05.08


2016年5月7日。

ここ立川では、早くも夏を思わせる強い日差しが照り付けています。
参加する皆さんもすっかり軽装になりました。

会場内にはマットがびっしり。
準備運動にも熱が入ります。


今月のテーマは、「肝気郁結(かんきうっけつ)〜春は「肝」、梅雨は「脾」〜ヨガで取り組む適時調神シークエンス〜」
肝気郁結とは、肝の機能である「疏泄(そせつ)」が失調し滞ること。
感情の抑うつ・怒りやすい・胸悶してよくため息をつく・胸脇や乳房また少腹が脹痛するなどの症状が現れます。
人間の身体は、季節の循環や生活環境の変化など、周囲の環境から様々な影響を受けています。
日本で暮らしていると、春は何かと変動要因の多い季節。
一日の中でも朝晩と昼とで気温が大きく変化しますし、日によっても暑くなったり寒くなったりを繰り返しながら夏の暑さへと向かう時期です。
さらに、年度の始まりということで、職場や学校が変わったり、人によっては引っ越しを伴うなど、生活環境も大きく変わることが多い季節です。
張り詰めていたものがふっと弛んで、それまで溜め込んでいたストレスが表面化。
やる気が出ない、食欲がない、寝つきが悪い、不安感におそわれるなどの不快な症状が出やすくなります。

東洋医学的にも、自律神経の働きを担う『肝』と、体内エネルギーを作る『脾』は、いずれもストレスや気候変化などに弱く、春の不安定な気候や生活環境の変化に影響されて、本来の力が発揮しづらくなると言われています。
加えて、5月5日から6月4日までは、 脾臓の経絡が弱くなる時期と言われています。
脾臓は、胃と連動して食物を消化・吸収し、栄養を全身に巡らせる機能を担っています。
吸収した水分を全身に送り、筋肉に栄養を蓄え、血が順調に巡るように血液の貯蔵庫としても働きます。
「病気の始まりは胃腸から」と言われるように、身体を作る3要素「気」「血」「水」は「脾(=胃腸)」で作られていると考えられています。
今回のクラスでは、前回に引き続き肝経の刺激を行うとともに、気血水を作る胃腸の働きを促す=体全体の力の源になる『脾』も高めて、これからやってくる梅雨に向けて、元気な身体を導いていきましょう♪
※『気』とは、体を動かす働きのことを指し、内臓や感情など様々な働きをコントロールしています。西洋的には自律神経の働きに近いと言われています。

肝経(足の厥陰肝経:あしのけついんかんけい)
足の親指の爪の人差し指側に起こって足の甲の内側、すねの内側、太ももの内側中央を通って鼠蹊部へと上行、生殖器を巡って腹部に入り、消化器、肝臓に絡んで肋骨下へ。
人体の化学工場とも言われる肝臓は、お酒・薬・化学物質・老廃物などの有害物質の分解・解毒を一手に引き受けている重要な臓器です。

脾経(足の太陰脾経:あしのたいいんひけい)
足の親指の先に起こって脚の内側中央部を上行、ひざから太ももで脚の内側前部へ移り、鼠蹊部のラインの中央付近を通ってさらに上行、腹部中央よりやや外側を上がって胸の外側を通り、腋の下に至ります。
脾経は、単に脾臓の経絡というだけでなく、小腸での食物の吸収や体内各所への分配の機能も司っています。

身体の前側を伸ばし、胃腸をすっきりさせて消化力を高めていくのが今日のテーマ。
今日ものんびりと呼吸を楽しんでいきましょう。


今日もいつものように「あいさつ」から始めます。
ここからポーズの説明です。
1. 身体の前で脚を組み、安楽座の姿勢で座ります。
ゆっくり身体を左右に揺らして、坐骨がしっくりと収まって安定する位置を見つけましょう。
身体が後ろに倒れて背中が丸まってしまう方は、お尻の下にクッションや畳んだブランケットなどを敷いてみましょう。
クッションの一番手前のところに軽くお尻を乗せる感じで座ると、自然に骨盤が立っていきます。
ひざがマットから浮いて安定しないようなら、ひざの下にもクッションを差し込んでみましょう。

2. 左右の手をひざの上に置きます。手のひらでひざを包むように軽く添える感じで。

3. 股関節を使って上半身をゆっくりと前に倒し、胸を前方に突き出して開きます。

4. 今度は上半身を後ろに倒して、おへそを背中に近づけるようにして背中を丸めます。
股関節を使って骨盤を前に倒したり、後ろに傾けたりして、股関節周りの緊張をほどいていきましょう。

5. 何度か身体を前後に動かしたら、身体を中央に戻して、坐骨の上に背骨を一つ一つ積み上げるようにして上半身を真っすぐ立てていきます。
あごを軽く引き、頭のてっぺんを天井へと持ち上げていきます。

6. 静かに目を閉じて、今の呼吸を見つめます。

7. ふーっと息を吐き切ったら、胸の前で合掌。

8. 一礼して、クラスを始めます。
ポーズの説明はここまでです。

 



次は、「ねじりを加え、ひざを開いたチャイルドポーズ」で、引き続き呼吸を見つめていきます。
ここからポーズの説明です。
1. 正座の姿勢で座ります。
正座が辛い場合は、太ももとふくらはぎの間に畳んだブランケットを挟んでみましょう。

2. 両ひざを左右に広げて、上半身を前に倒して両手を身体の前に付きます。

3. 両手を一歩前に歩かせます。

4. 右手をマットから離して手のひらを上に向け、左手と左ひざの間の隙間を通して、身体の左側へと真っすぐ伸ばしていきます。
右腕が身体の左側に伸びていくのに合わせて、上半身をねじりながら前に倒していって、右肩をマットに付けます。

5. 左手をマットから離して背中に回し、さらに身体のねじりを深めながら、左手を腰~右太ももの付け根辺りの届くところに持っていきます。
首の力を抜いて、右のこめかみをマットに付け、静かに目を閉じます。

6. 自分のペースで呼吸します。
吸う息が背骨を通って骨盤へ、そしてさらにその先へと届く感覚。
吐く息で、身体中の要らないものが骨盤を通って背骨を上がっていく感覚。
吸って身体が膨らんで、身体の各所に隙間が出来る感覚。
吐いて弛めて、じんわりと隙間が埋まっていく感覚。
自分の呼吸と、呼吸が身体に及ぼす効果を身体全体で感じます。
吐く呼吸が、肩をじんわりと伸ばしていく感覚。
伸ばした右手の指先から、ふーっと呼吸が抜けていくように、要らないものを手放していきます。
もっとゆっくり吸ってみたら、吐いてみたら、そんなことも意識してみましょう。

7. 人の呼吸は、吸って、は~っと吐いて吐き切ったときに、力みがほどけると言われています。
一度は~っと吐き切って、背中に回した左手を戻し、左肩の真下の位置に付きます。

8. 左腕で身体を支えて上半身を起こし、右手を戻してマットに付きます。

9. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
肩関節を使って肺の経絡を刺激、身体をねじって内臓を刺激。
お腹と太ももの前側を合わせて刺激することで、肝臓、脾臓、腎臓の経絡を刺激して、身体全体のバランスを整えてくれるポーズです。
☆正座の姿勢が難しい場合は、椅子に座ってやってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 自分が座る椅子を用意して、さらに自分の前に背もたれのある椅子を置きます。
2. ひざを開いて座り、左手で前に置いた椅子の背もたれの右側を掴みます。
3. 右手で左ひざを掴みます。
もっと出来るようなら、右手をさらに左の方へと動かして、痛みのない範囲で身体のねじりを強めていきます。
ポーズの説明はここまでです。
左右でポーズを取り終わったら、正面に両手を歩かせて身体を倒し、普通の「チャイルドポーズ」で休みましょう。
腕を前方に伸ばし、お腹と太ももを近づけて、全身の力を抜いていきます。
ゆっくりと顔をマットに近づけて、額をマットに付けます。
そして鼻からゆっくりと呼吸。
腰の後ろを気持ちよく伸ばしていきましょう。
お腹が押されて苦しく感じる場合は、左右のひざを開いて、脚の間にお腹が収まる隙間を作ってみましょう。

椅子に座っている場合は、前方の椅子の背もたれに手を掛けて上半身を前に倒し、額を背もたれに乗せて休みましょう。


続いてのポーズは「ベイビードラゴン~ドラゴンフライ」
太ももの前側から下腹部の辺りまで伸ばしていくポーズです。
脚の前側を通る脾経と胃経を刺激、股関節を伸ばして腎経にも刺激を与え、下腹部周辺の刺激が肝経を活性化します。
ここからポーズの説明です。
1. マットの一番前側の縁から一歩後ろに下がったあたりでひざ立ちの姿勢になります。
ひざに痛みを感じるようでしたら、ひざの下にブランケットなど軟らかいものを敷いてみましょう。

2. 右ひざをマットから離して右脚を一歩前に出します。
太ももがマットと平行になるところまで脚を上げ、ひざを90度曲げて足裏をマットに付けます。

3. 左右の手を右足の横に置きます。
手の真上に肩が来るように上半身を前に倒します。
短距離走のクラウチングスタートのような姿勢です。
手がマットまで届きにくい場合は、手をグーにして、曲げた指の第二関節をマットに付くか、手をフィンガーカップ(お椀を持つときのような手のかたち)にして、指先をマットに付きましょう。
さて、今の状態を確認しておきましょう。
前に出した右足のかかとの真上に右ひざがきていますか?
右足のつま先はまっすぐ前を向いていますか?

4. 左足のつま先を立てて、一歩ずつトントンと後ろにずらしていきます。
左脚の付け根に伸びを感じたら、つま先をマットから離して足の甲をマットに付けます。

5. 骨盤から身体を正面に向け、顔を起こして正面を見ます。
重心が右脚に掛かり過ぎないように、腰の右側をやや後ろに引くようにして、上半身の重さが左脚の付け根の方に掛かるように姿勢を調整しましょう。
ゆっくり呼吸しながら、身体の重みで左脚の鼠蹊部が伸びていくのを感じます(ベイビードラゴン)。
最初からきれいにポーズが取れなくても、時間の経過とともにじわじわと腰の位置が下がってきて、本来のポーズのかたちに近づいていきます。
陰ヨガでは、力任せにポーズを取る必要はありません。
吸って広げて、吐いて弛めて。
呼吸に合わせてポーズを深めていく感覚を掴めれば、どんなポーズにも応用できます。
この段階で「きついなー」と感じる方はここまで。
まだ余裕のある方は次に進みます。

6. 両手をマットから離して、右ひざの上に重ねて乗せます。

7. 上半身を起こして、骨盤の上あたりに体重を移します。

8. 頭を起こしてあごを引き、正面に視線を向けます(ドラゴンフライ)。
吐く息とともに、少しずつ左の股関節を弛めて腰を沈め、左脚の付け根をじっくりと伸ばしていきます。

9. 一度は~っと吐き切って、元のひざ立ちの状態に戻り、左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
陰ヨガではかなり刺激の強いポーズ。
あちこちで「お~っ!伸びる~!」の声が上がります。

そんなときこそ、呼吸を忘れずに。
ついついポーズのかたちを追いかけて、ぐいぐい伸ばそうとしてしまいます。

息を止めて踏ん張っていたり、負荷が掛かり過ぎて浅い呼吸しかできなかったり。
それは身体からのメッセージ。
そんなに頑張らなくていいんだよ~。
そんなメッセージを受け取ったら、楽に呼吸が出来るところまで戻りましょう。


ゆったりとした柔らかい呼吸を続けましょう。
それは、時に物足りなく感じるかもしれませんが、その分時間を掛けてます。

パワーヨガが強火で一気に炒めるチャーハンだとすれば、陰ヨガはじっくりコトコト煮込んで作るポトフのようなもの。
ちゃんと作ればどちらもおいしく出来上がります。


大丈夫です。安心してください。
効いてますよ。


最後は「チャイルドポーズ」でひと休み。


 


続いてのポーズは「ダングリング」
首、腰、太ももの後ろ、ふくらはぎ、身体の背面を刺激するポーズです。
背中と脚の裏側全体を伸ばして腎経、膀胱経を刺激するとともに、股関節から下腹部にかけての刺激が肝経を活性化。
身体のねじりが脾経と胃経を刺激します。
ここからポーズの説明です。
1. 軽く脚を開いて立ちます。
両足の間にこぶしひとつ入るくらいに間を空けます。
バランスが取りづらい方は、もう少し広めに間を空けても構いません。

足先は親指同士が平行になるように、指先の向きを揃えて正面に向けます。
意識せず自然に立つと、多くの方は足先が開いて「ハ」の字になります。
適当な大きさの箱などを両足の間に置いて、左右の足の内側を箱にピッタリくっつけるようにして立ってみましょう。
それが足先を平行に揃えたときの感覚です。
人によっては、かなり内また気味に感じるかもしれません。
この感覚を覚えておきましょう。

2. 手は腰に置いて胸を開きます。

3. 足の指を開いて、指の一本一本でしっかりとマットを捉えます。

立ち姿勢のまま軽く重心を前に動かして、指先がマットを捉えるのを感じます。

続いて後ろに動かして、かかとが沈むのを感じます。

最後に中央に戻して静止します。

坐骨が下を向いているのを感じられるでしょうか?
自分の身体の中心軸を感じられるでしょうか?

4. 深~い腹式呼吸を繰り返します。
吸ってお腹を膨らませ、吐いてお腹を凹ませます。
ゆっくりと息を吸い込んで、お腹をぱんぱんに膨らませ、吐くときには空気の抜けた風船のように身体の力を抜いていきます。

吸う息が脚の内側に流れ込み、力が漲っていくのを感じます。
吐く息が、力みとともに脚の外側をすーっと抜けていくのを感じます。

呼吸を繰り返しながら、身体がどっしりと安定していくのを感じます。

5. 太ももの付け根のライン(鼠蹊部)に人差し指を添えてみましょう。
このラインの奥には股関節があります。
ここを使って身体を2つに折り畳んでいきます。

一度人差し指を離し、今度は親指を腰に引っ掛けて、残りの4本の指で先ほどの脚の付け根のラインを押さえます。

6. 股関節を意識しながら、上半身を前に倒していきます。
腰や背中を丸めないで、股関節だけを使って、頭を前の方に下げていきます。
ひじを左右に開いて胸を張り、ピンと伸びた背中を意識します。
まずは上半身が水平になるあたりまで。

7. お腹と太ももの前面をくっつけるようにして、さらに上半身を倒して前屈を深めていきます。
吸う息に合わせて、両手で股関節をぐーっと後ろに押して、背中を長―く伸ばします。
吐く息で、抜けていく空気とともに前屈を深めて、脚の裏側がじわっと伸びるのを感じます。

少しずつ、少しずつ、お腹と太ももの前面を密着させていきます。
ひざは曲げても構いません。
まず、お腹と太ももをくっつけて、それからひざを伸ばしてみましょう。

8. 股関節から手を離して腕を下ろし、左右の手で反対側のひじを掴みます。
ぶら下げた腕の重みで腰が伸びる感覚を味わいます。

吐く息とともに首の力も抜いて、5㎏以上もあるという頭の重みで首の後ろを伸ばします。

もちろん、いきなりビヨーンと伸びたりはしません。
ほんの1ミリ、2ミリと、わずかに伸びていく自分の身体を繊細に感じ取っていきましょう。

9. 吸う息とともに足裏を踏みしめ、吐く息で脱力。
上半身の重みで脚の裏側が伸びていくのを感じましょう。

10. 一度は~っと吐き切って、両手をひざに当てます。

11. ゆっくりと上半身を持ち上げ、頭が最後になるように身体を起こして、立位の姿勢に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。



今度は2人1組でやってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. お互いに向き合った状態で立ちます。
腕を伸ばして手を繋げる程度に間を空けましょう。

2. 前屈して、両腕を下に降ろします。

3. 左右どちらかの手で、相手の同じ側の手を握ります。
自分が右手なら、相手の左手を取ります。

4. 繋いだ手を身体の反対側に軽くずらしながら、お腹をねじっていきます。

5. 空いている方の手は腰の後ろに回して、さらにねじりを深めます。
吐く息でお腹の力を抜きながら、腰に回した腕を使って、じんわりとねじりを深めます。

6. ゆっくりと立位の姿勢に戻り、左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
身体をねじると消化器系が刺激され、消化機能がUPします。
背骨の歪みの矯正にも良いとされています。

☆立位がつらい方は、椅子を使ってやってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 椅子に軽く腰かけて、両ひざの間を少し開けます。
手は腰に当てます。親指を腰に引っ掛けて、親指以外の4本の指で足の付け根のラインを軽く押さえます。
足先は、親指同士が平行になるように、指先を正面に向けましょう。

2. 深~い腹式呼吸を繰り返しながら、身体から力を抜いていきます。
呼吸とともに足裏に重心が下りていくようなイメージ。

3. 座ったまま、お腹と太ももの前面をくっつけるようにして、頭を下に向けます。

4. 腕を降ろして左右の手で反対側にひじを掴み、腕の重みで腰が伸びる感覚を味わいましょう。
ポーズの説明はここまでです。


続いてのポーズは「仰向けのバタフライ」
仰向けの姿勢で股関節を広げて弛めます。
股関節を広げて腎経を、下腹部の周辺を伸ばして肝経を、脚の前側を伸ばして胃経を刺激します。
ここからポーズの説明です。
1. ひざを立てて体育座りの姿勢になります。

2. 上半身を後ろへ倒し、両手をお尻の後ろに付きます。
指先は脚の方に向けます。

3. 足裏同士を合わせて、ひざを左右に開いていきます。

4. 上半身を後ろに倒してマットにひじを付き、さらにそのまま仰向けに寝てしまいましょう。

5. 両腕は身体の横にだらんと伸ばし、気分をすっきりさせたい方は手のひらを上に、何となく不安感のある方は手のひらを下にします。
そのときの感覚で、どちらでも構いません。気持ちよく感じる方で行いましょう。
眼を閉じてあごを引き、後頭部をマットに沈めるイメージ。

6. 吸う息で背骨から骨盤に呼吸が入っていきます。
吐く息で腰の後ろが伸びて、背骨を通って呼吸が流れていきます。
深い呼吸を繰り返しながら、身体の力みを解いていきます。
身体の緊張が解けていくのに合わせて、ひざが少しずつ左右に開き、徐々に弛んで広がっていく股関節を感じましょう。

むくみを強く感じる方は、お尻とかかとの距離を少し離してみましょう。
昨日呑み過ぎちゃったよ~という方は、お尻とかかとの距離を近づけてみましょう。
なかなか緊張が取れない方は、片方の手をお腹の上、もう片方の手を胸の上に置いてみましょう。
頭の位置がどうも落ち着かない、そんな方は頭の下に枕を敷いてみましょう。
背中や腰の下に畳んだブランケットを敷いてみるのも良いでしょう。

さらに緊張が解けていくと、肩の力が抜けて、胸が自然に開いていきます。
呼吸が楽になって、さらに身体が弛んでいきます。
のんびりと自然な呼吸を繰り返しながら、背中の緊張を解いていきます。
全身を弛めて、身体がペターっと平らになっていく感じ。
どこにも力を入れる必要はありません。
リラックスして、弛んだ時間を楽しみましょう。
ポーズの説明はここまでです。

ゆっくりとひざを閉じて、ひざを胸の前で抱えましょう。
今のポーズで身体の前面を広げたので、今度は小さく丸まって反対の動きをします。


脚を伸ばし、仰向けの姿勢になります。
ここから「シャバアーサナ」へと入っていきます。
ここからポーズの説明です。
1. 仰向けの姿勢で軽く脚を開き、腕は身体から離して、手のひらを上に向けます。
足先は力を抜いて自然に開き、やや外向きになるように。

あごを軽く引いて、静かに目を閉じます。
普段からあごが上がりやすい方、それは疲れが溜まっているサインです。

平らなマットの上では頭や腰などに違和感があるような場合は、気持ちよく仰向けの姿勢が取れるように、クッションやブランケットなどを使いましょう。
仰向けで腰が痛む場合は、ひざを立てても構いません。
脚の力を抜いてリラックスできるように、ひざの下にクッションなどを入れて脚を支えましょう。

2. 深~い腹式呼吸を繰り返しながら、身体の力を抜いていきます。
手足や肩を軽く揺すったり、ゆっくりと頭を左右に振って動かしたりしながら、全身の緊張を解いていきます。
表情筋を動かして、顔の緊張も弛めます。

姿勢が安定したら、動きを止めて。
そして呼吸。
大きくゆっくりと、自分が心地よいと感じる呼吸を繰り返します。

3. シャバアーサナとは「屍のポーズ」。
死後硬直が解けてぐにゃぐにゃになった身体をイメージしてみましょう。
身体のどこにも力の入っていない、完全に力みから解放された状態。

頭の中も空っぽにしていきましょう。
不意に「晩御飯は何食べよう?」なんて想わざる想いが勝手に湧いてきたりしますが、気にしない気にしない。
そんなものにとらわれず、呼吸とともに流れていくに任せましょう。

4. 本格的に眠りに落ちるちょっと手前のところで目覚めの準備に入ります。
手足の指をゆっくりグーパーグーパー。
少しずつ身体を左右に揺すって、ごろんごろんと転がります。

身体が右側に倒れたところで、ゆっくり身体を起こします。
首をうなだれたまま身体を起こし、最後に頭を上げて座位の姿勢に移りましょう。
ポーズの説明はここまでです。
「あ~気持ちよかった~」
「僕寝てました?」
そんな声が聞こえてきます。
眠っている自分と起きている自分が混ざり合う境界線の世界。
理想的なシャバアーサナですね。


最後は安楽座でご挨拶。
胡坐の姿勢で身体を左右に揺すって、坐骨を安定させます。
坐骨がマットに垂直に刺さる感じ。
そしてその上に骨盤と背骨を積み上げていきます。

眼を閉じて、そして呼吸。
ゆっくりと吸い込む息が、座骨に向かって流れていく・・・。
吐く息とともに弛んだ身体が、坐骨に向かって沈んでいって、どっしりと姿勢を安定させる。
そんな呼吸を繰り返します。

胸の前で合掌。
親指を胸の中央に引き寄せて、中指を天井に向けます。
あごを軽く引き、静かに目を閉じて、呼吸の流れを感じましょう。

「アンジャリムドラー」
それは「ありがとう」を表すポーズ。
口角を上げて、微笑みを作りましょう。
ゆっくりと、心地よいリズムで呼吸しましょう。
優しい気持ちで、呼吸しましょう。

爽やかな五月晴れの季節を過ぎれば、入梅はもうすぐそこ。
じめじめどんよりと気の滅入る季節を迎えます。
そんなとき、今の呼吸に戻ってきてください。
安楽座で手を合わせ、静かに目を閉じて、のんびり自分のリズムで呼吸しましょう。

口角を上げて、頑張っている自分に感謝。
自分を認め慈しむことが出来たら、その優しい気持ちを周りにも振り向けてみましょう。

一日の終わりのほっとするひととき。
その一日がどんな一日であっても、最後に呼吸を見つめて優しい気持ちになってもらえたら。
そんな言葉とともに、今日のクラスは終了したのでした。


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

担当部署;業務部

好きなもの:温泉
好きなスポーツ:トレッキング

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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