YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.7.16開催(所沢会場)

2016.07.19

2016年7月16日。
毎月恒例のチャレンジド・ヨガの日です。

今日もサポーターさんに手引きされて、たくさんの方が会場へ向かいます。

会場内ではすでに準備運動が始まっていました。
クラスが始まる前に、脚を中心に身体をほぐしておくこの時間は、その日担当するサポーターさんとのコミュニケーションタイムにもなっています。

今回のテーマは「古典ヨガ ~アヒムサ~Ahimsaって?~」
前回に引き続き「って?」シリーズです。

アヒムサ。
この謎の言葉の意味は、クラスの中で明らかになっていきます。

それでは、いつものように「あいさつ」から始めましょう。

安楽座、または胡坐の姿勢で座ります。
胡坐が座りづらいという方は、お尻の下にクッションなどを敷いてみましょう。お尻の位置を高くすると、自然に坐骨が立って座りやすくなります。
また、背中を壁に付けるようにして座ると、身体の支えになるだけでなく、自分の背中の丸まり具合をチェックするとともに、「背中が真っすぐに伸びた状態」がどういうものかを体感することが出来ます。
正座の方がラク、という方は正座で構いません。

上半身を上に引き上げて背中を伸ばし、その反動が下向きの力となって、土台となる下半身をマットに沈めていくのを感じます。
肩に力が入っていませんか?
肩に力みを感じたら、肩を上下に動かして、最後にストンと落としてリラックスさせます。

呼吸は鼻から。
自分の自然なペースで呼吸します。

慣れてきたら、少しずつペースを落としていきます。
まずは4カウントでやってみましょう。
鼻から息を吸いながら、ゆっくり四つ数えます。
1,2,3,4。
鼻から吐きながら、同じペースで四つ数えます。
1,2,3,4。

苦しかったら3カウントで、もっと出来そうなら6カウントでやってみましょう。

息を吸いながら、下に降りていく呼吸と、上に伸びていく身体を感じます。
息を吐きながら、上に抜けていく呼吸と、下に沈んでいく身体を感じます。

胸の前で合掌。
両手のひらを柔らかく重ね合わせます。
重ねた手のひらの間には「愛」があると言われています。
力まず自然に、ふんわりと。

重ねた親指を胸に軽く当てます。
背中、丸まってませんか?
呼吸とともに、上に伸びていく自分の身体を意識しましょう。

一礼して、本日のクラスを始めます。
 

安楽座の姿勢のまま、自分の呼吸を観察していきます。
「チンムドラー」の印を結びましょう。
手のひらを上にして左右のひざの上に乗せ、親指と人差し指で輪を作ります。
残りの三本の指は、自然に伸ばしておきます。

ゆっくりと呼吸しながら、聞いてください。

ヨガの聖典「ヨーガ・スートラ」には、ヨガのポーズ(アーサナ)を取る前の心構えとして、日々の生活の中で「してはいけない」5つの心得と、「実践すべき」5つの行いが記されています。
この「してはいけない」5つの心得を「ヤマ(Yama)」といいますが、「ヤマ」の筆頭に挙げられているのが、今回のテーマである「アヒムサ(Ahimsa)」
ヨガを行う者が第一に心得ておかなければならない大切な教えです。

アヒムサ(Ahimsa)という言葉は、サンスクリット語で「害」・「暴力」を意味する「ヒムサ(himsa)」に、否定の接頭語「ア(a)」が付いて、「非暴力」「不殺生」と訳されます。
語源を辿ると、大元の意味は「苦痛を引き起こさないこと」

心と身体に苦痛を引き起こすものから遠ざかること。
自分を大切にすること。
これは生物としての本能ともいえます。
 

そこに、人間を人間たらしめている想像力が働くと、「自分が傷つきたくないように、相手も傷つきたくない」という認識に至ります。
そしてまた、苦痛は自らが受けるものだというだけでなく、自らが与えてしまうかもしれないものだということにも気づきます。
これが「アヒムサ」。

なんだ、当たり前のことじゃないか。
誰しもがそう思うでしょう。

にもかかわらず、この世界からは争いが無くならず、誰かが傷ついたり命を落としたりといったニュースが流れない日はありません。
物理的な暴力だけではありません。
誹謗中傷、○○ハラスメント、いじめに嫌がらせ、世の中にはそんな話題が溢れかえっています。

誰かのものが欲しくなる。手段を選ばないほどに欲しくなる。
不快な思いをしたと思えばやり返したくなる。
思い通りにならないイライラをどこかにぶつけたくなる。

いけないと分かっているのにやめられない。
そのくせ、良いと分かっていることが実行できない。

それは、心が縛られているから。
欲に踊らされ、怠け心に引きずられ、要らぬプライドに突き動かされ、正体のない不安に駆り立てられて、人はしばしば愚かな行動を取ってしまいます。
そうした心を縛る様々な軛から自由でいられる人。
アヒムサの実践者とはそういう人です。

まず、自分をいたわることから始めましょう。
自分の心と身体を愛し、慈しむことから始めましょう。
そうやって、自分の心にちょっとだけ、ゆとりのスペースを作っておきましょう。

そのゆとりが、心が波立った時に一呼吸置く余裕に繋がります。
その一呼吸が、心の波に押し流されてしまう自分を押し留めてくれるのです。
 


さて、ここでもう少し、自分の呼吸を見つめていきましょう。
名付けて、「四方向の呼吸」

まず、お腹の辺りに手を当ててみましょう。
鼻からゆっくりと息を吐いて、お腹がすーっと凹んでいくのを感じます。
お腹が背中の方に近づいていく感じ。
徐々にお腹に力を入れて、腹圧を高めてしっかり吐き切ります。

お腹の力を弛めると、ぽんっと息が入ってきます。

鼻から息を吸って、お腹がふーっと膨らんでいくのを感じます。
前だけではなく、横にも、後ろにも膨らんでいくのが感じられるでしょうか。

これが「腹式呼吸」。
自律神経の中で、リラックス・休息時に優位になると言われる副交感神経を活性化する呼吸法です。

腹式呼吸の効果をさらに高めるには、吐く息を意識して、ゆっくりと吐くこと。
交感神経は吸気(吸う息)を司り、副交感神経は呼気(吐く息)を司ると言われています。
ゆっくり吐くことで、副交感神経の働きを高めます。

次に、片手を胸の下に当て、もう片方の手を下腹部に当てます。
今度はお腹だけでなく、胸にも呼吸を入れていきます。

鼻から息を吸って、息がお腹を膨らませ、胸を持ち上げて肋骨の間が広がるのを感じます。
ゆっくりと吐きながら、胸がしぼみ、お腹が背中の方に引っ込んでいくのを感じます。

両手を胸の横に移動させましょう。
吸う息が、胸を横方向にも膨らませるのを感じます。

24時間365日、絶えず働き続けている自分の身体。
生きている証である「呼吸」を見つめ、身体の中に命の営みを感じます。

両手をひざの上に戻し、チンムドラーの印を結びます。
いつの間にか背中が丸まってしまっているようなら、もう一度まっすぐ伸ばします。



ここからが「四方向の呼吸」。
首周りを弛めます。

4カウントで鼻から息を吸いながら、身体の向きは変えずに顔だけ右に向けます。
1,2,3,4。

あごが上がり気味の方は、あごを引いておきましょう。4カウントで吐きながら、正面に戻します。
1,2,3,4。

同じように、鼻から息を吸いながら、顔だけ左に向けます。
1,2,3,4。
肩の力みをほどいてリラックスさせましょう。
4カウントで吐きながら、正面に戻します。
1,2,3,4。

今度は鼻から息を吸いながら、4カウントで上向き。
首の前のしわをぴんと張って伸ばすイメージ。
1,2,3,4。
4カウントで吐きながら、正面に戻します。
1,2,3,4。

続いて下向き。
吸って、1,2,3,4。
吐いて、1,2,3,4。

この四方向を繰り返します。
頭の重みを支えて常に大きな負荷が掛かっている首周り、特に首の後ろを弛めていきましょう。
 


続いては、地味にキツいつま先の運動。
つま先を刺激して、身体全身の血流を改善します。
つま先立ちの姿勢になるので、不安な方は壁のそばで行うと良いでしょう。

まずは基本形。
マットの中央に立ちます。
両脚は腰幅程度に開き、足先はハの字に開かずに、平行に揃えます。

鼻から息を吸って背骨を伸ばし、吐きながら少しずつかかとを上げて、つま先立ち。
頭のてっぺんを上から釣り上げられるようなイメージで、すーっと身体を浮かせていきましょう。

足の小指側に体重が掛かると、身体の軸が左右にブレて不安定になります。
身体の中心軸を意識して、親指の付け根に体重を乗せていきましょう。

どうしても足の裏に意識が行ってしまいますが、頭のてっぺんに意識を向けてみましょう。
身体全体に、内側に寄ってくるような力を感じられるでしょうか?

息を吸いながら、ゆっくりとかかとを降ろします。

今度は逆に、足の指だけをマットから離します。
息を吐いて、つま先を反らせて上に持ち上げます。
息を吸って足指を戻し、マットに付けます。

もう一度繰り返します。
吐いてかかとを上げて、吸って降ろす。
吐いてつま先を上げて、吸って降ろす。

これは、足首を痛めないよう、柔軟性を高めるための動きです。
身体を上へ引き上げるように意識しましょう。

内もも、内くるぶし、親指の付け根。
身体を上に引き上げるのに合わせて、内向きに締まっていくような力が加わるのを感じましょう。

 


さらに、今度は腕の動きを付けます。

腕を前から回し上げてバンザイのかたち。
頭の上で両手の指を組んだら、くるっとひっくり返して手のひらを天井に向けます。

息を吐いて、手のひらで天井を押し上げるようにして上に伸びながら、かかとを上げていきます。

お腹にも軽く力を入れて、思い切って身体を伸ばしてみましょう。

息を吸って、かかとを降ろします。
両手を上に押し上げたまま、息を吐いて、つま先を上げます。

息を吸って、つま先を戻し、腕を降ろします。


 


続いて、ちょっと難しい応用編。
脚を揃え、背中を伸ばして立ちます。

右脚を一歩前に出します。
普段の一歩より少し大きめに、思い切って踏み出してみましょう。

息を吸いながら、右のかかとをマットから離し、つま先だけをマットに付けます。
息を吐きながら、左のかかともマットから離し、両足ともつま先立ちになります。
足の外側に体重が掛かるとバランスが取れないので、足の親指側に体重が掛かるように意識しましょう。

頭のてっぺんが天井に向かって引き上げられていくイメージで、身体を縦に伸ばします。
身体の軸が前後左右にぐらつかないように、背骨を真っすぐ立てるよう意識しましょう。

簡単なようで難しいポーズです。
バランスが取りづらい方は、歩幅を少し狭めにして、内ももや内くるぶしを締める感じでやってみましょう。

しばらくキープした後、両方のかかとを降ろします。
 


そして、さらに難易度の高い上級編。
右足のかかとだけ残して、足裏をマットから離します。
自分の前に居る人に足の裏を向けるイメージです。

息を吸って、背骨を伸ばします。

左足のかかとを上げて、つま先立ち。


どうでしょう?

バランスを取るのがとても難しいポーズです。
ちょっと気を抜くとグラッときます。

最初は、足裏もかかとも少しマットから浮かせる程度で構いません。
上に伸びることを意識して、身体を真っすぐに立てていきましょう。

かかととつま先を降ろしてマットに付けます。
右脚を後ろに引いて、両脚を揃えます。

会場内には思わず安堵のため息が(笑)。
 


もちろん、左右を入れ替えて行いますよ。
左足を一歩前へ。
少し思い切って大きめの一歩を踏み出します。

今度は腕の動きも付けてみましょう。
鼻から息を吸いながら、両腕を前から回し上げてバンザイ。
頭上で両手の指を組み、手首を返して手のひらを天井に向けます。

手のひらで天井を押し上げるように上に伸びて、息を吐きながら両足でつま先立ち。
頭のてっぺんからお尻まで、身体の真ん中を貫く中心軸を意識しながら身体を縦に伸ばすことで、身体全体が内側に寄ってきて軸が安定します。
お尻もキュッと締めて、小尻効果も目指しましょう。

息を吸いながら、かかとをマットに降ろします。

今度は息を吐きながら、左足のかかとだけ残して足裏をマットから離します。
一度息を吸って、吐きながら右足のかかとを上げて、つま先立ち。

両手は天井を押し上げるように、身体を上に伸ばします。
上に伸びることで身体の中心に向かって力が集まり、横方向へのブレが抑えられます。

しばらくキープして、息を吸いながら両足裏をマットに付け、両腕も身体の横に降ろします。

左脚を下げて、右脚に揃えます。


まだまだ続きます。

今度は両脚を腰幅に開きます。

背中を伸ばし、胸の前で合掌。
この姿勢のまま、ゆっくりゆっくりしゃがんでいきます。

なるべく背中が丸まらないように、胸を正面に向けておくよう意識しましょう。
頭のてっぺんを天井に引き上げるよう意識して、肩や腕は力を抜いて楽に。
ひざの間がガバッと広がらないように、脚を揃えてしゃがみます。

ひざが曲がるにしたがって、かかとが浮き上がってつま先立ちになります。
お尻がかかとの上に乗るところまで降ろしたら、今度はひざを降ろしてマットに付けます。
そのままの姿勢でキープ。
足の親指の付け根を刺激します。

背中が丸まらないように、身体を起こして背骨を真っすぐ、真上に向けて。

この姿勢、足の指が痛くなる人と痛くならない人がいます。
痛くても、終わった後すっきりしますから、もうちょっと頑張ってみましょう。
 


まだまだ終わりません(笑)。
右足を一歩前に出します。

体重が左足の指の付け根に掛かります。
どうにもきついという方は、お尻を少し浮かせてひと休みしましょう。

右ひざに左手を乗せます。手のひらが上向きになるように。
次に、右ひじを左の手のひらに乗せます。
右腕の上腕部を立てて、右の手のひらをあごに付けます。

背中、丸まってませんか?
背骨は斜め前に向かって真っすぐ伸ばしましょう。

これが「跪いた戦士のポーズ」。
ほおづえついて考えている人、といったイメージですが、表情だけは余裕の微笑みを浮かべましょう。

しばらくポーズをキープしたら、両手をマットに付いて右足を元の位置に戻し、背骨を真っすぐ立てて胸の前で合掌します。

左右を入れ替えてやってみましょう。
左足を一歩前に出し、左ひざに右手の甲を乗せて、上向きになった右手のひらの上に左ひじを乗せ、左腕上腕部を立てて、左の手のひらをあごに付けます。

痛くても痛みを見せず、余裕の笑顔で。
ゆっくり10数えたら、両手をマットに付いて左足を戻し、正座の姿勢になりましょう。

重圧から(?)解放された足指のジンジンくる感じを楽しんでください。

お水を飲んで一息ついたら、次のポーズにいきましょう。

「Vyaghrasana&Goasana(ヴィヤガラアーサナ&ゴアーサナ:虎(猫)のポーズ&バランス)」
四つん這いで背中を丸めたり、反らしたり。
背骨の柔軟性を高めるとともに、気分をリフレッシュさせたり、集中力を高めたりする効果もあります。
腰痛にも大変効果があると言われ、巷ではダイエット効果のあるポーズとして紹介されていることもありますね。

数あるヨガのポーズの中でも、最もポピュラーなポーズのひとつ。
何を隠そう、チャレンジド・ヨガの第1回の最初のポーズが「猫のポーズ」だったというくらい、イメージもしやすく、誰にでも無理なく行えるポーズです。
とはいえ、勢いや力任せに行うと手首を痛めることがあります。
今回のテーマ「アヒムサ」に沿って、手首を守りつつ安全にポーズを取る練習をしていきましょう。

ここからポーズの説明です。
1.四つん這いの姿勢になります。
脇を軽く締め、肩の真下に手首がくるように、手の位置を調整します。
いわゆる「掌底」を中心とする手のひらの下の部分で身体を支え、指先には力を入れずに弛めておきましょう。

2.息を吐きながら、背中を丸めます。
鎖骨の下の部分の筋肉を使いながら、背骨を丸めて猫背になっていきます。
お腹に向かって下からパンチを食らったところを想像してみましょう。
真下からおへそを突き上げてくる力をイメージして、背骨をぐーっと丸めて上に持ち上げます。手のひらで身体を押し上げるのではなく、背中が丸まって押し上げられていくのに合わせて、肩甲骨の間が広がって、肩から手のひらの下の部分まで、真っ直ぐに伸びていくのを感じます。

3.今度は、息を吸いながら背中を反らせます。
手のひらの下の部分で軽くマットを押して身体を支え、お尻を突き上げ、あごを上げて、背中で弓なりのラインを作ります。
胸を開いて、空気をいっぱいに取り込みます。

4.息を吐いて、四つん這いの姿勢に戻ります。
 

まだまだ続きます。


5.今度は、脚の動きを加えます。
息を吸って、右脚を後方斜め上に向かって伸ばします。

獲物に向かって疾走する虎の姿を想像してみましょう。
後ろ脚で地面を蹴り上げ、ピンと張った尻尾でバランスを取りながら、飛ぶように駆けていく獰猛な虎。
その空中にある一瞬を切り取った姿をイメージしてみましょう。

さらに、手のひらの下の部分で軽くマットを押しながら、あごを突き出します。
あごを上げることで鼠蹊部が弛みます。

6.次に、息を吐きながら身体を丸め、右ひざを曲げていきます。
右ひざはマットに付けずに、左ひざの横を通り越し、胸へと近づけていきます。
身体が丸まっていくのに合わせて、あごを引いて額を右ひざに近づけます。

7.息を吸いながら、もう一度右脚を後ろに伸ばします。
4カウントでゆっくりと。1,2,3,4。
余裕があれば、左手をマットから離して前方に伸ばし、バランスを取ります。

8. 息を吐きながら背中を丸め、ゆっくりと右ひざを胸に近づけます。
1,2,3,4。


9. 四つん這いの姿勢に戻ります。

10.手の位置はそのままで、かかとの上にお尻を降ろし、チャイルドポーズで休みましょう。
ポーズの説明はここまでです。

左右を入れ替えて練習タイム。
皆さん果敢に脚を上げて挑戦しています。

きれいにポーズを決めている方も。
お見事!


ティンシャの音を合図に次のポーズへ。

次のポーズは「Ardha matsyendrasana(アルダ マッチェンドラーサナ:半分のねじりのポーズ)」
内臓を刺激していたわるポーズ。
特にすい臓の活性化に効果があると言われ、腰痛を和らげる効果もあります。
※ただし、腰痛がひどい場合は止めておきましょう。
ゆったりした呼吸とともにこのポーズを取れば、心を静める効果もあるとされています。


ここからポーズの説明です。
1. 正座の姿勢で座ります。

2. お尻を浮かせて左にずらし、かかとの左側にお尻を下ろして横座りの姿勢になります。

3. 右脚を曲げたままひざを立てて、右のかかとを左ひざのさらに左側に置きます。
右足の指先は正面に向けます。
腰がつらい方、体勢が安定しない方は、左脚を前に伸ばしてみましょう。

4. 鼻から息を吸って、背骨を上へと伸ばします。

5. ここから身体を右にねじっていきます。
まず、両手のひらを右ひざの上に添えます。
両肩はマットと平行を保ちます。

背骨の一番下にある仙骨から、背骨をひとつひとつねじっていきます。
息を吸って、身体を上に伸ばします。
吐きながら、少しだけねじりを深めます。
もう一度息を吸って、身体を上に。
吐いて、また少しねじります。

6. 右腕を伸ばして、右手のひらをお尻の後ろに置きます。
顔も右の肩先の方に向けて、身体全体をねじります。

鼻から息を吸って、背骨を上に伸ばします。
吐きながら、また少しねじります。
息が苦しくなったり、眉間にしわが寄ってきたら、少し戻してねじりを弛めましょう。

7. 右手をマットから離して、左の脇腹に添えます。

8. 脇腹のお肉に手を掛けて、ぐいぐいグイッと右側に寄せていきます。
立てている右脚の太ももを使って、寄せてきた左わき腹のお肉を挟み込みます。
・・・・・いや、先生。そんなことが出来るような人なら、そもそもぜい肉なんかついてませんって。

9. 一応、脇腹のお肉を右の太ももで固定したとして(笑)。
再び右手をお尻の後ろについて、呼吸とともにねじりを深めます。

吸って上に伸びて、吐いてねじって。
お腹にぎゅっと押し付けた右の太ももを通して、自分の内臓を感じます。

24時間365日、文句も言わずに暴飲暴食に付き合ってくれる忠実な友(笑)に感謝。
いたわりの気持ちとともに、さらにねじりを深めていきます。

10. 4カウントでゆっくりと身体を正面に戻します。
右手もマットから離して、仙骨からゆっくりとねじりをほどき、脚もほどいて体育座り。両腕でひざを抱えて脱力します。

11. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。


比較的難易度の高いポーズだからなのか、ダイエットネタの効果なのか(笑)、練習時間も静かに、真剣に進みます。


そして完成ポーズ。
頑張った成果が出るといいですね!

 


続いてのポーズは「Anjaneyasana(アンジャネーヤアーサナ:三日月のポーズ)」
身体全体で三日月のかたちを描くポーズ。
坐骨神経痛を緩和するとともに、気持ちを引き立たせて前向きにする効果があるとも言われています。
腰をいたわりながら、安全にポーズを取る練習をしていきましょう。
ここからポーズの説明です。
1. マットのやや後方でひざ立ちの姿勢になります。
足指の腹をマットに付けて、足裏を立てます。

2. 右脚を一歩前へ出します。
ひざの真下にかかとが来るように、足の位置を調整しましょう。
ひざがつま先より前に出てしまったり、身体の内側に倒れこんだりすると、ひざを痛める原因になります。

マットに付いている左ひざに痛みがある場合、左ひざの真ん中にピンポイントで体重が乗ってしまっているので、少し左脚を後ろに引いて、ひざの上の方までマットに付くように調整したうえで、ひざの下に畳んだブランケットなど、柔らかいものを敷いてみましょう。

3. 両手のひらを右ひざの上に乗せます。

4. 息を吐きながら、左鼠蹊部を前に押し出して伸ばします。
さらに、胸を開き、上半身を天井に向かって伸ばしていきます。

ポイントは、腰を反らせるのではなく、身体の前側を伸ばしていくこと。
身体の前面をまんべんなく伸ばしていくことで、背中に緩やかで自然な円弧のラインが生まれます。

5. 息を吸って、両腕を前から回し上げます。
軽くあごを上げて、首の後ろをリラックスさせましょう。
胸を前方斜め上方向に突き出して、さらに胸を開いていきます。

6. もうちょっと伸ばしたい、そんな方は右足をもう一歩前へ出します。
左の鼠蹊部を下に沈めるようにして、さらに伸ばしていきます。
手の指先から足の先まで使って、三日月の美しい円弧を描きます。

7. 呼吸を止めずにしばらくポーズをキープします。

8. 息を吐いて、両腕をゆっくりと前から回し降ろします。
右脚を戻して、ひざ立ちの姿勢に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。


これを踏まえて、本日の組ヨガ。
「Virabhadrasana Ⅰ(ウィーラバッドゥラ・アーサナ1:英雄のポーズⅠ)」
三日月のポーズから立ち上がって、英雄のポーズⅠに移ります。
二人組になって手を繋ぎ、お互いの呼吸を合わせ、声を掛け合って、お互いをいたわりながら行っていきましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 二人一組で横に並んで、立ちひざの姿勢になります。
足指の腹をマットに付けて、足裏を立てておきます。

2. 内側(相手の側)にある脚(右側の人は左脚、左側の人は右脚)を前に出します。

3. 手を繋いで、呼吸を合わせて両腕を前から回し上げます。
鼻から息を吸って、4カウントでゆっくり上げていきましょう。
手の先をピンと伸ばし、やや上を向きます。

4. 外側の脚(立てひざになっている脚)の鼠蹊部を前に押し出し、下腹部に少し力を入れて、ゆっくりと4カウントで立ち上がっていきます。
息を吸いながら、足の親指の付け根でマットを押して、ふわりと身体を浮かせていきます。
身体の前面に意識を向けて、胸を上へ突き出し、後ろ脚の鼠蹊部を前に押し出して、腰を守りつつ背面で円弧のラインを描きます。

5. 相手と呼吸をあわせ、いたわりながら、ゆっくりと4カウントで身体を沈めて、三日月のポーズへと戻ります。
ポーズの説明はここまでです。

「行くわよウッチー。」
「はい先生!」

「ウッチー、もう少しよ!頑張って!」
「ありがとうございます!」

「先生!出来ました!」
「すごいわウッチー!よくやったわ!」

少女漫画風の小芝居をカマしつつ、お手本のポーズを見せるお二人。
この小芝居が効いたのか、練習時間は今日一番の大盛り上がり。


微笑、爆笑、にやけ顔。
様々な笑顔が咲き乱れます。
 

最終ステップの完成ポーズ。
参加者さんからも「行くわよ!」の声が(笑)。

 

身体の前面を伸ばしたので、今度は「Balasana(バーラーアーサナ:チャイルドポーズ)」で休みましょう。

かかとの上にお尻を落とし、上半身を前に倒します。
おでこをマットに付けて、身体中の力を抜いていきます。
背中の緊張をほどいて、リラックスさせましょう。

おでこがマットに届かない方は、おでこの下にクッションやブランケットなど頭の支えになるものを敷きましょう。

お腹がつかえる方は、両ひざの間を広く開けて、太ももの間にお腹が収まるようにしてみましょう。

 


チャイルドポーズの姿勢から、「Sasankasasana(シャシャンカアーサナ:うさぎのポーズ)」へ移ります。
頭頂への刺激を行うポーズ。
頭を逆さにしてマットに付けていくので、血圧の高い方や眼圧の高い方は行わないようにしてください。
代わりに、握り拳で頭頂部を軽く刺激してみましょう。
ここからポーズの説明です。
1.チャイルドポーズから両ひじを曲げて、両手を顔の横に置きます。

2.息を吐きながら、頭をマットに付けたまま、お尻を少しずつ上げていきます。
お腹を軽く引っ込めながら、あごを引いて首の後ろを伸ばしつつ、マットに付けている頭の位置を少しずつ頭頂部の方へ移動させていきます。
頭のてっぺん、百会のツボがマットに押し当てられるところまで、お尻を上げていきましょう。

3.頭頂部の刺激が気持ち良く感じるところを見つけたら、頭を軽く揺らすなどして刺激していきます。

4. ゆっくりと、お尻をかかとの上に戻します。

5.急に頭を上げるとめまいを起こすことがあるので、まずは両手で握り拳を作って上下に重ね、その上に額を乗せます。

落ち着いてきたなと感じたところで、ゆっくりと頭を上げていきます。
ポーズの説明はここまでです。


起き上がったら仰向けになって、「シャバアーサナ(屍のポーズ)」に入ります。

まず、全身の力を抜くために「ゴキブリのポーズ」を行います。
仰向けの姿勢から、両腕、両脚を天井に向けて伸ばし、手足をけいれんさせるようにブラブラと揺らします。

ひと通りほぐれてきたら、手足をマットに降ろします。

仰向けの姿勢でマットに横たわり、脚は腰幅程度に開いて足先は外に向けます。
脇の下にこぶし一つ分程度の隙間を空けて、腕を身体から離し、手のひらを上に向けます。


眼を閉じて、ゆっくり深く、腹式呼吸で呼吸します。
吸ってお腹を膨らませ、吐いてお腹をしぼませます。

力みや違和感のあるところがあるようなら、リラックスして横たわれるよう、姿勢を変えたりブランケットを敷いたりしてみましょう。
一度力んで脱力するのも効果があります。

意外と忘れがちなのが顔の筋肉。
こわばっていたり、歯を食いしばっていたり、眉間にしわが寄っていたり。
一度ぎゅっとしかめっ面をして、それからぱっと力を抜いてみましょう。


照明を落とした会場に、静かに流れるBGM。
ほのかに漂う香りは「ピンクロータス」
「香り:Pukalani」さんから提供された香りです。

泥の中に生まれて泥に染まらず、美しい花を咲かせる蓮の姿はヨガの象徴。
理想の世界観を表します。
その花から抽出された香りは、浄化の香り。
砂地に水が浸み込むように、すーっと身体の中に沁み通っていきます。

今回のクラスは、身体を痛めずいたわる、というところに重点を置いて進めてきました。
ヨガは、自分をいたわる、自分を愛する、ということから始まります。
今の自分が好きでも嫌いでも、そんな自分を認め、受け入れること。
良いところも悪いところも、ありのままに受け入れる。
ヨガの目指す世界はその先にあります。


屍のポーズのあとは、生まれ変わる準備をしましょう。
足をブラブラさせて、手をブラブラさせて、身体の端の方から、ゆっくりと身体を目覚めさせていきます。

両脚を真ん中で揃えたら、両腕でひざを抱えて、ゆっくり身体を揺すってみましょう。
右側にごろんと身体を倒して、頭が最後になるようにゆっくりと起き上がります。

安楽座の姿勢で座り、胸の前で合掌。
最後はロータスムドラーで終わりましょう。

合掌したまま両ひじを前に出して、肩の高さで両ひじを合わせます。
ひじから先は天井に向けて立てます。

親指の先、手のひらの下側、小指の先の3点を重ね合わせ、他の三本の指を左右に開いて、開花する蓮の花を表します。
泥の中に根を張り、汚れなく咲く、神聖な蓮の花。
「心を開く」。
そんなイメージで、手で花びらが咲くようにやさしく形を作りましょう。

手のひらを合わせて、合掌した手を胸の前に戻します。
一礼して、今日のクラスを終わります。

まず、自分を労わることから始めましょう。
自分の心と身体を慈しむことから始めましょう。
それが出来たら、その慈しむ心を周りの人に向けていきましょう。

誰しも「ありがとう」と言われれば嫌な気はしないもの。
そんな小さな歓びを、たくさん集めていきましょう。
いつしかあなたの周りには、喜びの輪が広がっているはずです。
そのとき、あなたはもう立派な「アヒムサ」の実践者です。


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

担当部署:業務部

好きなもの:温泉
好きなスポーツ:トレッキング

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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