YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.4.17開催(所沢会場)

2016.04.19


2016年4月17日。
ここ新所沢では晴天に恵まれ、初夏を思わせる美しい青空が広がっています。

写真で見るととてもいい天気なのですが、実はこの日はかなり強めの南風。
午前中は雨風ともに強く、いくつもの路線で運休や遅延が出るほど荒れた天気でした。


中止も危ぶまれるような天候の中、開催された今回のクラス。
欠席される方もほとんどなく、皆さん元気に会場まで到着されました。

参加された方は37名。
会場内にはびっしりマットが敷き詰められています。
サポーターさんもマットの間に隙間を見つけて準備運動。

今回のテーマは、「古典ヨガからのメッセージ~意識(い・し・き)~」
古典ヨガとは、瞑想ポーズ、訓練ポーズ、リラクゼーションポーズの3種類のアーサナを組み合わせ、肉体的、内面的、精神的に効果を得ていくものです。
古典ヨガによれば、アーサナとは「安定していて、快適であること」。先生のお手本通りに出来たかどうか、それはひとまず置いて、自分なりの安定した快適なアーサナを見つけましょう。
普段使わないところを伸ばす心地よさ、知らず知らずのうちに固まっているところを弛める心地よさ。
もう少し伸ばすと痛くなる、もう少し曲げると苦しくなる、そのちょっと手前のところにある心地よさを味わっていきましょう。
自分なりのアーサナも繰り返すことで深まり、いつしか先生のお手本に近づいていくことでしょう。

3種のアーサナと呼吸に集中することで、いつしか雑念は薄らいで、心の中が空っぽになっていきます。
周りの人や理想の自分、何かの物差しで自分を見つめるのではなく、何もない空っぽの心で今の自分と向き合います。
縮こまって固まっていた筋肉が弛みはじめ、関節のひとつひとつがあるべきところに収まって、身体が整えられていく一方で、無心になるひとときの積み重ねが内面の乱れを鎮め、固まった心がほぐれていきます。
そして、穏やかで揺らがない心が自分の内面にしっかりと根づくにしたがって、いつしか自らの律し方、生き方が変わっていくのです。
今回のテーマは「意識」
身体の色々な部位だけでなく、時に自分の心にも意識を向けつつ、ポーズを味わっていきましょう。

そしてもうひとつ。
「プラーナ」を意識しましょう。
「プラーナ」は、通常「気息」と訳されます。
それは宇宙に遍在する生命のエネルギー。
呼吸とともに身体の中に取り込まれ、常に身体の中を巡っています。
難しいことは置いておいても構いません。
吸う息で上から下へと巡っていく呼吸。
吐く息で下から上へと巡っていく呼吸。
ポーズとともに、身体の中を自在に巡る呼吸にも、少しだけ意識を向けてみましょう。

「プラーナ」
今日はこの言葉を覚えて帰りましょう。

ちなみに、このクラスで使っているマットも「prAna(プラナ)」のヨガマットです(笑)。
軽く、柔らかく、滑りにくい、3拍子揃ったヨガマット。
オッシュマンズで絶賛販売中です!

 

さて、それではクラスの様子を見ていきましょう。
最初はいつもの通り「あいさつ」から。
ここからポーズの説明です。
1.安楽座(胡坐)の姿勢で座ります。
胡坐がきつい場合は、お尻の下に畳んだブランケットやクッションなどを敷いてみましょう。お尻の位置を高くすると座りやすくなります。
壁を背にして座れば、身体の支えになるだけでなく、姿勢のチェックも出来ますよ。
お尻の肉をかき分けて、しっかりお尻を割って座ってみましょう。
胡坐より正座のほうが落ち着く、という方は正座でも構いません。

2.坐骨を立てて、背骨を伸ばし、胸を開いてあごを引きます。

3.鼻から深くゆっくり呼吸します。
腹式呼吸でお腹の底に息を送り込み、お腹を凹ませながらゆっくりと吐きます。
呼吸が安定してきたら、だんだんと吐く息を長くしていきます。
2カウントで吸って、4カウントで吐く。そんなイメージです。

4.着座の姿勢が安定したら、両手の手のひらを天井に向けて、左右のひざの上に乗せます。

5.力を抜いて5本の指を自然に広げたら、親指と人差し指の指先を触れ合わせて、「チンムドラー」の印を結びます。
神聖な存在を象徴する親指と、自分自身を表す人差し指を結んで、宇宙の中心と自らの心を繋ぎます。
「プライド」を意味する中指、「欲望」を表す薬指、「無知・無明」を象徴する小指を身体の外に向け、そっと自分から遠ざけます。

6.さらに呼吸を深め、「プラーナ」が身体の中を巡るのを感じます。
宇宙の中心と繋がる自分、宇宙の中心から流れ込む生命のエネルギーをイメージして、心を鎮めていきます。

7.胸の前で手を合わせ、「アンジャリムドラー(合掌)」の印を結びます。
5本の指先同士を触れ合わせ、手のひらの間に隙間を作ります。
合掌の印は感謝を表すとともに、右脳と左脳を調和させ、意識を中心に集めると言われています。
また、合わせたの手の間には「愛」があるとも言われています。
力を抜いて、優しく両手を重ねましょう。 ポーズの説明はここまでです。


会場内に静寂の帳が下りる中、一礼して今日のクラスを始めます。

まず最初に行うのは「パーミング」
手のひらを猛烈な勢いで擦り合わせて温め、温めた手のひらを左右の目に被せて温めます。

パーミングは目を浄化すると言われています。
また、目の周りの血行を促して目の疲れを軽減したり、集中力を高めたり、心を落ち着かせるリラクゼーション効果もあります。
ここからポーズの説明です。
1.安楽座、胡坐、正座など座りやすい姿勢で座ります。

2.手のひらを合わせて、出来るだけ素早く擦り合わせます。
手のひらに熱を感じるところまでしっかり擦って温めます。

3.手のひらでお椀のかたちを作り、手のひらの一番下の部分を頬骨に合わせて、手のひらのお椀で目を覆います。

ポイントは、眼球を圧迫しないこと。
手のひらの温もりでじんわりと、目とその周辺を温めます。
熱が逃げないように、光が入らないように、出来るだけ隙間を作らないようにして、しっかりと目を覆います。

4.背筋を伸ばし、自然な呼吸を繰り返しながら、目を休めてリラックスさせます。
ポーズの説明はここまでです。
手のひらを擦り合わせる動きで、少しずつ身体のスイッチが入っていきます。
これから火を起こすくらいの勢いで猛烈に擦り合わせているうちに、手のひらに意識が集中していきます。

しっかり温めた手で目を包みます。


 



さて。
今度はもっと大きく身体を動かしていきますよ。
ゆっくり立ち上がって、マットの中央に立ちましょう。

準備運動その1。「腕を前後に振る運動」
そのまんまのネーミングです。
腕を振って肩の可動域を広げ、全身の血流を良くします。
腕を振り回しても何かにぶつかったりしないよう、手の届く範囲に何もないことを確認してください。
 ここからポーズの説明です。
1.脚を腰幅に開いて立ちます。

2.ひざを軽く曲げ、両腕を前に伸ばします。

3.両腕を下げて、そのまま後ろへ。背中の向こう側まで振っていきます。

4.振り子のように、再び前へ。そして後ろへ。
前、後ろ、前、後ろ、1,2,1,2・・・・。

5.リズムが掴めてきたら、ひざの動きを加えてみましょう。
前後に動く腕の動きに合わせ、ひざを使って身体を上下に揺らします。
身体の中心軸が前後左右にぶれないように、縦の動きに集中しましょう。

6.身体がリズムを刻みだしたら、腕をもっと高いところまで振り上げていきましょう。

後ろいっぱいまで振って、それから前へ。

肩の高さを越えて、頭の上まで振り上げてみましょう。

痛みがあるようならその高さまでで止めてください。
呼吸を忘れずに。

7.身体が温まってきたら、少しずつ振り子のスピードを落としていって、最後に腕を降ろします。

 

 
続けて今度は準備運動その2。「腕を左右に振る運動」
 でんでん太鼓のように、身体の周りで円を描くように腕を振ります。
 ここからポーズの説明です。
1.右の手で左の肩を軽く叩いて、戻します。

2.左の手で右の肩を軽く叩いて、戻します。

3.右、左、右、左、交互に繰り返します。

4.リズムに乗ってきたら、腕の動きに合わせて身体をねじっていきましょう。
左右の腕で身体の周りに円を描きます。

5.肩回りがほぐれてきたら、少しずつ回転のスピードを落としていって、最後に腕を降ろします。
ポーズの説明はここまでです。


無心に腕を振り回していると、なんだか子供に戻ったような気分。
心もほぐれていくようです。

時々どこかが痛かったりすると、歳かな~っと我に帰りますが(苦笑)、そんなことは気にしなくてもいいんです。
それが今の自分なんですから。

今の自分を受け入れて、そこから何が出来るか考えればいいんです。
向上心さえ失わなければ、いつか身体の方が変わります。



 

さて続いては「五体投地法」
五体投地とは仏を礼拝するときの作法。
立位の姿勢から両ひざと両ひじ、頭を地面について、両手と頭で仏の足を頂く、最高の敬意を表す礼法です。
チベットの寺院などで、地面に敷いた布の上に身体を投げ出して礼拝する人々の姿をご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょう。
寺院で行われる五体投地の礼拝は、文字通り五体、つまり身体全体を地面に投げたすようにして礼拝しますが、ここでは正座で頭を付けるところまで。代わりにつま先立ちの姿勢からスタートします。
五体投地法を行うと、肝臓、膵臓を刺激するとともに、腰の部分の脂肪を取り除くという嬉しい効果(笑)があります。

五体投地を行う前に、まずはつま先立ちの練習から。
脚を腰幅に開いて立ちます。

ゆっくりとかかとをマットから離してつま先立ち。
かかとが浮き上がるにつれて、意識を両足裏の親指の付け根に向けていきます。

かかとを降ろしてマットに付けます。
何度か繰り返しながら身体を慣らし、少しずつかかとを高く上げる練習をしていきます。

合わせて、つま先立ちの姿勢を少しずつ長めに取っていきます。
つま先立ちが不安な方は、壁に手を付いて身体を支えながら練習してみましょう。
慣れてきたら、今度は壁を背にして行ってみましょう。
つま先立ちの感覚が掴めたら、腕の動きを加えてみましょう。
かかとが浮き上がるのに合わせて、両腕を前から上へと上げていきます。
かかとを降ろすのに合わせて、腕も前から下へと降ろします。

呼吸も合わせましょう。
息を吸いながら、ゆっくり3カウントでかかとと腕を上げていきます。
静止して3カウント。
今度は息を吐きながら、ゆっくり3カウントで降ろします。


さて、いよいよ本題の五体投地の練習に入ります。
全身に負荷の掛かるポーズです。

痛かったりバランスを取りづらかったりする場合は無理をせず、出来る範囲で行いながら、少しずつ身体を慣らしていきましょう。
出来ないからと諦めず、どこまで出来たかに意識を向けていきましょう。

1.両足を揃えて立ちます。
腰に痛みのある方、バランスを取るのに不安を感じる方は、両足の間隔を腰幅程度に開いて立ちましょう。
壁を背にすると、身体の支えになるだけでなく、背骨が真っすぐ縦に伸びているかをチェックすることも出来ます。

2.両腕を伸ばしてゆっくり前へ。

3.肩の高さを越えたところで、腕の動きと連動しながらかかとを上げて、つま先立ちになります。
足の親指の付け根に意識を向けながら、身体全体を縦に伸ばしていきます。

4.身体を縦に伸ばした姿勢を保ちながら、ゆっくりとひざを曲げてしゃがみます。
上半身から両手の指先までマットから垂直に立たせた姿勢を保ちながら、スーッと真下に沈めていきましょう。

「え~っ!」と悲鳴が上がりますが、先生は委細構わず。
「ちょっとぐらぐらっとするかもしれないけど、ぐらぐらエンジョイね。」
事も無げに言ってのけます。

「え~っ!」と言いつつも、とにかくやってみる皆さん。
両腕を頭上に差し上げて身体を伸ばしたまま、つま先立ちになった足の親指の付け根に意識を集め、バランスを取りながらゆっくりとひざを曲げて、お尻をかかとの方に落としていきます。

「ちょっと怖い」という方は、最初は壁の方に向いて、壁に手を触れながらしゃがんでみてください。

つま先立ちでしゃがむ動きに慣れたら、今度は壁を背にしてやってみましょう。
案ずるより産むが易し。
案外出来ちゃうもんですよ。

余裕が出来たら、呼吸にも意識を向けてやってみましょう。

5.つま先立ちでしゃがんだ姿勢になったら、そーっとひざをマットに降ろします。

6.腕を降ろして、胸の前で合掌します。

7.つま先をマットから外して足の甲をマットに付け、正座の姿勢で座ります。
背骨はマットと垂直に立てます。

8.上半身を前に倒して両手をマットに付いたら、そのまま両手を前に歩かせていって、「チャイルドポーズ」のかたちになります。
身体を丸めて頭を付けるのではなく、背中を伸ばしたまま股関節を使って身体を倒し、両手を交互に前に出しながらお腹やわき腹を伸ばしていって、最後に胸を開いておでこをマットに付けていきましょう。
全身の力を抜いて、身体がゆる~っとマットに沈んでいくのを感じましょう。

9.ひじを付き、手のひらを天井に向けて仏足頂礼。
善行の実践を象徴すると言われる仏さまの足を両手に頂き、頭のてっぺんに意識を向けて、頂くつま先を自らの頭頂に軽く押し当てるイメージで礼拝します。

10.手のひらをマットに付けて、今度は身体の方へ歩かせて上半身を起こします。
腰骨を立て背骨を伸ばして、正座の姿勢で座ります。

11.胸の前で合掌し、足の甲を浮かせて足指の腹をマットに付けます。

12.つま先に体重を乗せて、ゆっくりとひざをマットから浮かせます。

13.お尻をかかとから離して、ゆっくりと立ち上がりながら、合掌した手を頭上高く上げていきます。
先ほどの逆で、真っ直ぐ伸びた上半身が垂直にすーっと上がっていくイメージです。

14.身体を縦に伸ばしてしばらく静止した後、静かにかかとと腕を降ろします。
ポーズの説明はここまでです。


ティンシャの鐘の音を合図に、練習時間に入ります。

先生の言葉でイメージしたポーズを取る中を、サポーターさんが回って足りないところをアジャスト。
悲鳴とうめき声と笑い声が入り混じりつつ、にぎやかに繰り広げられる練習風景。

ひざをマットに降ろしてホッと一息。
思わず安堵の表情が。


続いてのポーズは「Garudasana(ガルーダ アーサナ:鷲のポーズ)」

獲物を捕らえる強い脚と、獲物の腹を食い破る強いくちばしを備えた猛禽類の王者。
思うがままに大空を翔るその姿は自由の象徴。
強者ゆえの自由。自由ゆえの孤独。

孤高の高みにある者の強き心をイメージしながら、ポーズにチャレンジしてみましょう。

手足がこんがらがったようなポーズのかたちは、出来る出来ないは置いといて、「やってみる」ことを楽しむのにピッタリ。

「そんなの出来そうにない」とか「よくわからないところがある」とか、立ち止まろうとする心を打ち破って、とにかく出来るところだけでも、わかるところだけでもやってみましょう。

片脚立ちになるので、家で練習するときには壁などを利用して、手を付いて身体を支えられるようにしておくとよいでしょう。
片脚立ち自体が難しい方は、仰向けの姿勢からひざを曲げてやってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1.立位の姿勢から、両ひざを軽く曲げます。

2.左足をマットから離して浮かせ、左脚を右脚の前に出して、右太ももの上に左の太ももを乗せて少し休めます。

3.左ひざを右ひざのさらに右側に出し、左のすねを右のふくらはぎに巻き付けていきます。
左脚で右脚を締めあげるようなイメージ。

届くようなら、左足の親指を右足首の左上方に引っ掛けます。

4.胸の前で両ひじを合わせ、ひじを90度曲げます。

5.ひじを曲げたまま、左腕を右腕の下に回して腕を交差させ、手の甲同士が向き合うようにします。

6.左の手首を回して手のひらを身体の方に向け、さらにそのまま回していって、手のひら同士を向かい合わせます。
両腕を絞りあげながら、右腕に左腕を絡みつかせていきます。
左手の親指と人差し指で右手の親指の付け根を挟んで、親指以外の4本の指を揃えて右の手のひらに重ね、鷲のくちばしを作ります。

どうしても腕に意識が行きますが、呼吸とともに肩甲骨と肩甲骨の間が広がっていくのを感じましょう。

7.絡みついた手足をほどいて立位の姿勢に戻り、左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
このポーズは、太ももを締める動きで坐骨神経痛を改善し、複雑な脚のかたちはすねの痙攣も予防します。


短い練習時間の後、完成ポーズは全員で輪になって行います。
両隣の人と手を繋いだまま、それぞれ苦手な方の脚を使って片脚立ち。
反対側の脚を巻き付けて、鷲のポーズの脚のかたちを作ります。
脚のかたちが出来たら、両腕を前に出して手を放します。

ぐらっとする人多数。
にぎやかな笑い声が会場内に響きます。
今まで真剣な表情だった人まで思わず半笑い。
期待を裏切らない盛り上がりでした。

先生曰く、「明日、脚が筋肉痛になってれば大正解」だそうです(笑)。


次のポーズは「Paschimottanasana(パスチモッターナアーサナ:長座の前屈)」
パスチモは「西=背中」、ウッターナは「強く伸ばす」の意。
元々ヨガは東を向いて行うものであったらしく、そうすると背中が西を向くことになるので、西=背中を指すようになったようです。
脚を伸ばした長座の姿勢から、前屈して背中を強く伸ばす。
数多あるヨガポーズの中でも、三大アーサナの1つに数えられる重要なポーズであり、自分も含めて苦手な人が多いことでも知られる(?)ポーズです。
腎臓、肝臓、膵臓など、内臓器官のマッサージ効果があり、糖尿病や低血糖の方に最適なアーサナとも言われています。
注意力を高め、うつを克服させるとも。
腰などに痛みのある方は、痛みを感じない範囲で行いましょう。
ここからポーズの説明です。
1.長座の姿勢で座ります。

2.右のお尻を軽く浮かせて、右手でお尻の肉を引っ張って上に持ち上げます。
これは、脚を正しい位置に入れるために行います。
左のお尻も同じように行います。
腰に痛みが出やすい方は、揃えて伸ばした両脚の間を少し広げてみましょう。

3.両腕を伸ばして斜め後ろに下げたら、息を吸いながら大きく左右に広げ、天井に向かって回し上げます。
腕の動きに合わせて胸を開き、背骨をすーっと上に伸ばしましょう。

4.左右の二の腕を耳の横に付けます。
腰~背中~首~頭~腕~指のラインが真っすぐに並びます。

二本の脚で形づくられる板と、腰から指までで形成される板が、股関節を蝶番にして繋がっているイメージ。
半開きのガラ携のようなイメージです。
このラインを真っすぐに維持したまま前屈していきます。

5.息を吐きながら、ゆっくりと前屈します。
まず、二の腕を耳に付けたまま、10㎝ほど前に倒してみましょう。
股関節を支点に、伸ばした上半身を前方に傾け、指先を頭のてっぺんのさらにその先へと伸ばすイメージ。
座ったまま腰から上で背伸びをするように、中指の先を出来るだけ遠くへ伸ばします。
感覚が掴めたら、今度は行けるところまで前屈します。
息を吐きながら上半身を倒します。
二の腕が耳から離れないように。
意識は指先に向け、出来るだけ遠くに遠くに伸ばします。
出来る方は額をすねに付け、両手で足の裏か、ふくらはぎを掴みます。
呼吸、止まってないですか?
息をしましょう(笑)。

6.息を吸いながら上体を起こします。
二の腕を耳の横に付けて、指先を遠くに伸ばしながら、倒すときの真逆の動きでゆっくり身体を起こしていきます。
上体を起こしたら、両腕を後方に向けて回し降ろします。
最後に手をお尻の後ろに置き、指先を前に向けます。
ポーズの説明はここまでです。


さらに続けて「Purvottanasana(プールウォッターナアーサナ:東(=身体の前面)のストレッチ)」を行います。
プールヴォは「東=身体の前面」の意。
これに「強く伸ばす」のウッターナが付いて、身体の前面を伸ばすポーズを表します。
先ほどの前屈、パスチモッターナアーサナのカウンターポーズです。

足先から額まで、身体の前側を思い切って伸ばしましょう。
内臓、特に腎臓を刺激するとともに、甲状腺にも刺激を与えます。
脳への血流を増やし、リフレッシュ効果があるとも言われています。
ここからポーズの説明です。
1.長座の姿勢で座ります。

2.両手をお尻の後ろ、手のひら1つ分くらい離したところに置きます。
上体をやや後ろに倒し、指先を前に向けて、手のひら全体で身体を支えます。
あごは引いておきます。

3.左ひざを立てて足の裏をマットに付けます。
右の足先は前方に向けて伸ばします。

4.息を吸いながらお尻を持ち上げて、右の足先がマットに届くところまで身体を反らしていきます。

5.余裕があれば、あごをゆっくりと伸ばしていきます。
高血圧の方は、あごは引いたままにしておきましょう。
呼吸を忘れずに。

6.息を吐きながら、お尻を床に降ろします。

7.左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
さあ、やってみましょう。
両手をお尻の後ろに付いて身体を支え、つま先をいっぱいに伸ばし、息を吸い込んでお尻を上げます。

思いのほかマットが遠い。
届きそうで届かないマットに向けて、目いっぱいつま先を伸ばします。

息をするのを忘れているのに気付いて、鼻からふーっと息を吐き出します。
そしてもう一度、吸いながら身体を伸ばす。
吐いて弛めて、もう一度吸いながら伸ばす。
すると、つま先に微かなマットの感触が。

先生のようなきれいなポーズには程遠くても、気にすることはありません。
届かなかったところに届いた自分の身体を褒めてあげましょう。


一通りポーズが頭に入ったところで、長座の前屈と東のストレッチを続けてやってみましょう。

まずは前屈。
両腕を回し上げて、二の腕を耳に付け、指先を遠くへ遠くへと伸ばしていきます。
腕が斜め上を向いていようが、角度はこの際気にしない。
息を吸って、指先を遠くへ。
脇腹や背中、脚の裏側が伸びる感覚。

息を吐いて、股関節をもう少しだけ曲げます。
そして指先を遠くへ。
前に伸ばすのが目的じゃない。
胸を開いて、背中が丸まらないように気を付けて。

息を吐いて、またちょっとだけ股関節を曲げます。
少しずつ、少しずつ、太ももとお腹を近づけて、身体を折り畳んでいきます。
そして弛めて、伸ばした両腕をゆっくりと回し降ろします。
両手をお尻の後ろに付いて、片ひざを立て、伸ばした方の足のつま先を伸ばしたら、一息吐いて、それから大きく息を吸ってお尻を上げます。
身体を反らし、つま先を遠くへ。
吐いて弛めて、それからまた吸って伸ばす。
脚がつらないように気を付けて。
吐いて弛めて、また吸って伸ばす。
もっと遠くへ。もう少しだけ遠くへ。
そして、息を吐きながらお尻を降ろします。

この最後の1枚を見てください。
皆さんずいぶん頑張りましたよね。


そのまま仰向けになって、「Pavanmuktasana(パワンムクタアーサナ:ガス抜きのポーズ)」に移ります。
サンスクリット語でパヴァナは「風・ガス」、ムクタは「解き放つ」の意。
そのものずばりというかストレートな表現というか、何とも潔いネーミングのポーズです。

整腸作用があり、お腹の張りや便秘に効くと言われています。
また、腰痛を和らげる効果もあります。

仰向けの姿勢からひざを立て、さらにひざを胸の前に引き寄せて、両腕でひざを抱えます。

丸めた身体を前後左右にゆらゆらさせながら、腰やお腹をリラックスさせましょう。


 

今日のクラスもそろそろ大詰め。
「シャヴァーサナ(死体のポーズ)」に入ります。
ここからポーズの説明です。
1.仰向けの姿勢で身体を横たえ、腰幅程度に脚を開き、腕は身体から少し離れた位置に置きます。広い場所があるなら、もっと大きく広げていわゆる「大の字」になっても構いません。
手のひらを上に向けます。
足先は、外向きになるように左右に開きます。
平らなところに寝ると腰が痛いという方は、立てひざにするか、頭の下や足の下に畳んだブランケットなど置いて、少し腰を丸められるようにしてみましょう。

2.腹式呼吸。大きく深くゆっくりと。
吸ってお腹を膨らませ、お腹を凹ませつつ吐きます。

3.肩を揺すったり、頭を左右に動かしたりしながら、心地よく力が抜けていく姿勢を見つけます。
死後硬直が解けた死体のように、ぐにゃっと脱力するのが理想なのですが、たいていの人にはどういうわけか力の抜けない場所というのが存在します。
そんなときには、一度思い切り力を入れてみましょう。

4.右脚全体をマットから離して軽く浮かせたら、息を止めて右脚全体に思い切り力を込めて筋肉を緊張させます。
一呼吸分踏ん張ったら、息を吐きながら力を抜いて、かかとをマットに落とします。
左脚でも同じことをします。

5.今度は右腕をマットから離して軽く浮かせ、全力で力を込めます。
一呼吸分力んで脱力。息を吐きながら弛めて、右手をマットに降ろします。
左腕でも同じことをします。

6.次にお尻を浮かせ、キュッと締めて緊張させたあと、弛めてマットに降ろします。

7.胸を持ち上げ肩甲骨の部分をマットから浮かせたら、肩甲骨を締めて緊張させたあと、弛めてマットへ降ろします。

8.肩を丸めてマットから浮かせ、緊張させたあと、弛めてマットへ降ろします。

9.頭をゆっくり右左に回してから正面に戻します。

10.顔の筋肉も弛めます。
一度ぎゅーっとしかめっ面をして、それからふーっと力を抜いてみましょう。

11.あとはとにかく力を入れず、ゆったりと腹式呼吸を繰り返しながら、心も身体もリラックス。
ポーズの説明はここまでです。
今回は時間の関係もあって、両手両脚いっぺんに力を入れていきました。
腰を支点に両腕、両脚、肩甲骨から上の部分をマットから浮かせて、全力で力みます。
歯を食いしばって顔が赤くなるくらいに力んだら、力を抜いて浮かせた部分をマットに降ろします。

照明を落とした会場内に、ほのかな香りが漂います。
調香師の松村 佳子さんが、このクラスのために用意したオリジナル。
他に意識が向いていると気づかないくらい、尖ったところのない自然で柔らかな香りが、いくつものポーズをこなして昂った心を落ち着かせていきます。
パッヘルベルのカノンが静かに流れる中、1時間余りのクラスで身体を動かした疲れも手伝ってか、どこからか心地よい寝息も・・・(笑)。


胸の前で合掌し、最後のあいさつでクラスを締めくくります。

今日のテーマは「意識」
つま先、ふくらはぎ、指先など、ポーズごとにいろんな場所に意識を向けてみました。
自分の身体の右と左の違いにも。
そして、自分の心にも。

普段の生活の中で、思い出してみてください。

あの時、左でポーズが取りにくかったのは、いつもこんな座り方をしているからなのかな~とか、細―く長―く呼吸すると心が落ち着いてくるなあとか、そんなことを思い出してもらえたら、嬉しく思います。

そんな先生の言葉を胸にしまって、賑やかに帰路に就く皆さんなのでした。


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

担当部署:業務部

好きなもの:温泉
好きなスポーツ:トレッキング

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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