そんなオッシュマンズにおいて、代名詞といっても過言ではないフットウェアが存在する。
それがニューバランスのM1300CLSである。
スニーカーフリークのあいだで、「MADE IN USA. MADE IN UKのニューバランスを買うならオッシュマンズに行け!」というのが常識となっているように、ニューバランスのアメリカ製、イギリス製のラインアップの充実ぶりには定評があるが、このモデルを指名買いするユーザーは少なくない。
今回はニューバランスを愛する4名が、ニューバランス、そしてM1300CLSの魅力を語る。
スニーカーブランドのなかでも、ユーザーからの愛を特に感じられる存在です。
売り場で接客していても、購入してくれるお客さんが語りたがる傾向があります。
「皆さんニューバランスのことが大好きなんだなぁ…」と思う瞬間が多々ありますね。
自分にとってのニューバランスは、「大人のスニーカーブランド」というイメージです。
シーズン毎にトレンドを巧みに取り入れて、短期的に大ブレークするブランドもいいと思いますが、そういったスニーカー選びを卒業した大人のスニーカーフリークは、真っ先にニューバランスを選ぶような気がします。
いまだにアメリカ生産のプロダクトがあったり、使用している天然皮革のクオリティもトップレベルだったりしますからね。
元々スニーカーマニアで、ニューバランスも大好きだったことがニューバランス ジャパンに入るキッカケで、今はニューバランスの魅力を皆さんに伝えるという職務を担当していますが、自分にとってのニューバランスのイメージは中庸です。
スポーツシューズなんだけど、ライフスタイルシーンや、ビジネスシーンに対応し、レディスファッションのハズシにもピッタリ。
そんな汎用性の高さも大きな魅力だと思います。
あと、ニューバランスは中立のイメージもありますね。あらゆるファッションテイストやブランドとコーディネートしやすい。これはニューバランスがいい意味でニュートラルなブランドポジショニングにあるからだと思います。
一番履いたのはオリジナルのM1700です。
売り場に立っているときに履いていて、本当に疲れない。それ以前にM996とかを履いていて、「ニューバランスはやっぱり履き心地がいいなぁ…」と思ったのですが、M1700の快適性は、それを軽く凌駕するレベルでしたね。
ちなみに当時憧れていたのはM1500です。
佐々木さんと被ってしまうんですが、自分もM1700ですね。
アルバイトで働き始めた頃、先輩のほとんどが履いてるくらいに売り場でのM1700着用率が高くて、自分も購入したのですが、履いてしばらくすると、その理由がわかりました。
とにかく長時間立っていても疲れ知らずで、楽チンだったんです。
自分世代は大きなNロゴが好きなんで、M1300やM1400になっちゃいます。
でも復刻モデルでオッシュマンズ別注のブラックレザーのM1700を履いたら、「あれ、履き心地いいし、デザインも悪くないかも!?」と思うようになり、それからはスモールNの1000番台も履くようになりました。
自分もサドルのビッグNロゴ、しっかりしたヒールカウンター、シュータンラベルのNBロゴに憧れてニューバランスが好きになったので、1000番台でいうと、M1400ですね。
ラスト(木型)も日本人にフィットしやすいSL2ラストですし。特に好きなのはマウンテングリーンのカラーリングです。
のちに自分もM1500を履く機会があり、履き心地のよさに驚きました。
最初にM1300CLSを見たときの率直な感想は「全然オリジナルのM1300と違うじゃん!」と思いました。
ブルーの色調が明らかに違うし、素材も異なっていましたし。
でも、長きに渡り当方で販売してきたこともあって、現在ではオリジナルのM1300とは別の存在感を確立するとともに、このモデルの固定ファンが増えました。
現在はニューバランスの直営店などでも扱っていますが、当初、日本国内で正規販売していたのはオッシュマンズだけだったこともあり、現在まで良好なセールスを記録しています。
自分はアメリカの通販会社のカタログで初めて見ました。
「ソールユニットはM577だよね!?」と、知り合いと盛り上がりました。
日本には当初、並行輸入で入ってきました。
正直言うと、最初はあまり評価していませんでしたが、徐々に「コレはコレでありかも!?」と思うようになり、知り合いから購入の相談を受けたときは、「買ったほうがイイよ!」とアドバイスするように。
若い世代はオリジナルを知らないので、カラーリングが共通ならOKということもあるし、M577から流用されたソールユニットは履き心地に定評がありますしね。
オッシュマンズでニューバランスといえば、やっぱりM1300CLSだと思います。自分はいまだに持ってないですけど(笑)。近々履いてみたいです!
自分が入社したころは、すでに売り場に並んでいましたが、M1300CLSを目指して来店されるお客様も少なくない。
オッシュマンズ=M1300CLSというイメージがあり、今も毎月毎月もの凄い足数を売り上げているロングセラーです。
オリジナルの復刻だと思って購入されているお客さんが少なからずいらっしゃるような気もしてますが…
最近では、あえてM1300CLSを選ぶという通のスニーカーフリークもいますよね。ハイブリッド感etc.独自の魅力があって。
ここで簡単にM1300CLSの生い立ちを振り返ってみますと、誕生したのは1990年。
アッパーはM1300のカラーリングを使用していますが、マテリアルミックスは異なります。
ソールユニットはM576の後継モデルとして登場したM577のものを流用しており、高い衝撃吸収性、安定性、グリップ性を兼ね備えています。
日本では2004年から正式展開をスタート。当初はオッシュマンズのみでの限定販売でした。
手前味噌になるのですが、M1300CLSは、Dと2Eという2種類の足囲を揃えたウイズサイジング、MADE IN USAなど、ニューバランスを象徴する特徴を備えているプロダクトで、クラシックカテゴリーにおける重要な品番です。
個人的には今のままの状態であってほしいです。
すなわち、限定数量のみ販売されるのではなく、ユーザーが買いたいと思ったときに、いつでも購入できるような。
M1300CLSはスニーカーフリークからいいイメージで受け取られていますので、私たちも、そのイメージをキープしたまま、ニューバランスの定番として、大事に売り続けていきたいプロダクトですね。
M1300Jのほうはオリジナルのカラーリングやマテリアルミックスを一切変更できないみたいですが、M1300CLSのほうは、これまでに様々なカラーバリエーションが登場したように、今後の展開も楽しみです。
その際にはニューバランスらしい雰囲気は壊してほしくないですね。
個人的にはネイビー、バーガンディ、マウンテングリーンのような、ニューバランスと関連深いカラーリングのM1300CLSを見てみたいです。
M1300CLSは、オンロードランニングシューズであるM1300のアッパーにオフロード対応シューズであるM577のソールユニットを合体させるなど、現代ではあたり前となったハイブリッドスニーカーの先駆者であると思います。
フレッシュフォームだったりNB ZIPだったり、ニューバランスの歴史的なテクノロジーと融合させるのも面白いかと。
最近、ニューバランスは各ブランドとのコラボレーションも頻繁に行われるようになっていますが、M1300CLSは、トップレベルの相手先のコラボレーションには、その対象として最適なプロダクトだと思います。
PROFILE
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山崎 祐仁株式会社ニューバランスジャパン マーケティング部
1974年東京都生まれ。97年株式会社ニューバランスジャパン入社。IT部門にて社内システムの企画/運用/保守に従事。2006年よりマーケティング部に所属。自社Webサイトのコンテンツ管理担当、プレス担当、プロダクトマーケティング担当を経て、現在はデジタルを軸にしたコミュニケーションのチームマネジメントに携わる。
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佐々木 強株式会社 オッシュマンズジャパン 商品部 商品開発
1968年神奈川県生まれ。92年株式会社オッシュマンズジャパン入社。店舗スタッフとして各所を経験後、商品部シューズバイヤーに。オッシュマンズ初のニューバランスとのコラボレーションなどを手掛ける。その後メンズウェアや雑貨などのバイヤーなど経て、現在は別注商材やオリジナル商品の企画や監修を担当。
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大江山 真哉株式会社 オッシュマンズジャパン 商品部シューズ担当バイヤー
1980年北海道生まれ。2006年株式会社オッシュマンズジャパン入社。アウトドアスポーツ事業部にてMSWEAR担当、店舗マネージャーを経験、2019年商品部に所属。メンズウェアアシスタントバイヤーを経て現職のシューズ担当バイヤー就任。趣味はアウトドアスポーツ全般、ハイキング、トレイルラン、スノーボードなど。
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南井 正弘フリーライター、ランナーズパルス編集長
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「SHOES MASTER」「デジモノステーション」「フイナム」「価格.comマガジン」「モノマガジン」「家電ウォッチ」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。
自分のニューバランスに対するイメージは、一言で表現するなら「質実剛健」。
あとはいろいろ他のブランドのスニーカーを履いたあと、最終的に戻ってくるような存在です。
ファッションでいえば、古着好きな人が「いろんなスタイルを試したけど、やっぱり古着だよね!?」といった感じで元のスタイルに戻るような(笑)