YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.7.23開催(江戸川会場)

2016.07.24

2016年7月23日。

やってきたのは江戸川区一之江。
江戸川区視覚障害者協議会の協力のもと、ここ江戸川区でチャレンジド・ヨガを定期開催することになったのです。
今日はその第1回目。

インストラクターを務めるのはNAWO先生。
所沢や立川でもサポーターを務め、ノリの良さには定評のある先生です。


特に酔っ払った時の・・・~っと、それはともかく(笑)。

記念すべき第一回目のクラス。
テーマは「初めまして、ワタシのカラダ・ボクのカラダ~呼吸を通して、心と身体で感じる気づきを楽しもう♪~」

息を弾ませる、肩で息をする、息が切れる、息が詰まる、息が合う、息を抜く、息を呑む、息を潜める、ため息をつく・・・。
私たちは昔から、自分の心や身体の状態を呼吸になぞらえて表現してきました。
「息を弾ませる」と聞いただけで、愛する人の待つ場所へ走っていくその時の、ドキドキする心臓の鼓動や、弾むような軽やかな足取り、浮き立つような心のありようを、自分のことのように思い描くことが出来ます。
息をする、という当たり前の行為の中に、今の自分の心と身体の状態が鏡のように映し出されているのですね。

24時間365日、休むことなく続いている呼吸の不思議。
今日はヨガのポーズを通して、呼吸と心、呼吸と身体の不思議な関係を見つめていきましょう。

チャレンジド・ヨガでは、特に支障がない限り、中央の先生を取り囲むようにマットを配置しています。
中央の方向、つまり先生の声がする方が「前」です。
ご自宅で練習する場合は、マットの短い方の辺のどちらかを「前」と決めておくと、イメージしやすいと思います。


まず最初は「スカーサナ(安楽座)」
いわゆる胡坐の姿勢です。 あぐらといっても、背中を丸めてうなだれるようにして座ってはダメですよ。
また、腰の反らせ過ぎもNG。腰痛の原因になります。
骨盤と、その上に乗っかっている背骨を真っ直ぐ立てて座ります。


胡坐の姿勢のまま、お尻の割れ目のすぐ上あたりに手を当ててみましょう。
そこには板のような大きな骨がありますね。
これが仙骨。
この仙骨をマットに対して垂直に立てていきましょう。
仙骨に手を当てたまま、あごを引いて、頭のてっぺんを天井に向かってすーっと引き上げていくと、仙骨が起き上がっていくのが感じられます。
出来る方は、かかとの位置を身体の中央で前後に揃えてみましょう。
股間のすぐ前に右のかかとを置き、足先を伸ばします。
右の足首のすぐ前に今度は左のかかとを置きます。
こうすると、股関節が大きく開きます。
無理のない範囲でやってみてください。
胡坐で姿勢が安定しない方は、手近にあるクッションや畳んだブランケットなど、少し高さのあるものをお尻の下に敷いてみましょう。
クッションを置いたら、その手前の端にお尻を乗せて、お尻が足先より高い位置に来るようにすると、楽に座れるようになります。
正座のほうが楽、という方は正座でも構いません。


姿勢が安定したら、両手をひざの上に置いて、手のひらを返して天井に向けます。
正座で座っている場合は、両手のひらを上に向けて、太ももの付け根辺りに置いてみましょう。
目を閉じて、自分の呼吸を見つめていきましょう。
自分の自然なリズムで呼吸します。
呼吸が浅かったり、早かったりするようなら、意識してゆっくり呼吸します。

呼吸が落ち着いてきたら、さらに呼吸のペースを落としていきます。
ゆっくり、深く、大きく。
5カウントで吸って、7カウントで吐いてみましょう。
吸いながらゆっくり5つ数えます。
吸い込んだ空気とともに、お腹が膨らみ、胸が膨らみ、身体が縦に、横にと伸びていくのを感じます。
吐きながら、ゆっくり7つ数えます。
身体の中から抜けていく空気の流れを感じながら、ゆっくり最後まで吐き切っていきましょう。
吸って、1,2,3,4,5。
吐いて、1,2,3,4,5,6,7。
何度も繰り返して、呼吸のリズムを安定させていきます。

どうですか?
呼吸が落ち着いていくにしたがって、心も落ち着いてきませんか?
心と身体のありようが呼吸に現れるのだとすれば、意識して呼吸をコントロールすることで、心や身体をコントロールすることも出来るのです。

 

ゆっくり目を開けて、四つん這いの姿勢になりましょう。
次のポーズは「ヴィダラーサナ(ねこのポーズ)」です。
背骨を丸めたり、反らしたりしながら、背骨の柔軟性を高めるとともに、安定した呼吸のリズムを作ります。
ここからポーズの説明です。
1. 四つん這いの姿勢になります。
肩の真下に手首、骨盤と太ももを繋ぐ股関節の真下にひざが来るように。
手の指は開いて、手首の真下に来る手のひらの下側の部分で身体を支えましょう。
足先は寝かせて、足の甲をマットに付けます。
2. 息を吸いながら、頭のてっぺんとお尻の先の尾骨の先端を、天井に向かって突き出していきます。
四つん這いの両端が持ち上がる分、真ん中のお腹が下に沈んで、背中が弓なりに反っていきます。
胸を開いて、空気をいっぱいに吸い込みます。
3. 今度は息を吐きながら背中を丸めて、背中の真ん中を天井に向けて持ち上げます。
お腹をへこませ、しっかり息を吐き切りましょう。
背中が持ち上がるのに合わせて、肩甲骨も開いていくのを感じます。
首を下に垂らして、首の後ろの緊張も解放しましょう。
4. 吸って反らせ、吐いて丸めて。
ゆっくりとした呼吸のリズムを保って、一呼吸一動作で流れるように背中を動かしていきます。
呼吸は生命のエネルギーを作り出すもの。
生き物だけじゃありません。
車のエンジンだって、空気を取り込まなければ動きません。
呼吸によって生み出されたエネルギーを、ゆったりと波打つように動き続ける背骨を通して、身体の隅々にまで送り込んでいきましょう。
5. 何度か繰り返したら、手の位置は変えずにお尻を落としてかかとの上に乗せます。
お腹と太ももがくっついてしまうようなら、ひざの間隔を広げて、空いた隙間にお腹を収めるようにしてみましょう。
出来る方は、額をマットに付けてみましょう。
正座のまま上半身を前に倒したようなこのかたち。
「チャイルドポーズ」と呼ばれる休息のポーズです。
うつ伏せのまま、身体を気持ちよく布団に預けてすやすや眠る赤ちゃんをイメージしながら、全身の力を抜いてリラックスさせましょう。
ポーズの説明はここまでです。
ヨガ初体験という方も多い今回のクラス。
ポーズを楽しんでいる人、目を閉じて呼吸と向き合っている人、表情は様々ですが、皆さん真剣にポーズに取り組んでいます。

 

続いて、立位のポーズに移ります。
「ヴィーラバッドラーサナ2(戦士のポーズⅡ)」
足腰を強化するポーズ。
集中力を高める効果もあります。
ここからポーズの説明です。
1. マットの真ん中あたりに立ちます。
中央の先生の方が「前」なので、「前」に対して右を向いて、マットの長い方の辺が身体の正面に来るようにします。
2. 左右に脚を開きます。
腰幅の3倍程度に思い切って大きく開きます。
マットの「前」の方に左脚が伸びている状態です。
3. 左の足先を身体の外側に回して「前」に向けます。
右の足先の向きは、そのまま右方向に向けておくか、足先だけ少し右にずらして右斜め前に向けます。
足の裏全体でしっかりとマットを踏みしめておくのが、このポーズのポイントのひとつです。
両手は腰に置き、両足の裏に均等に体重を乗せて、腰骨が左右に傾かないよう、マットと並行を保ちます。
4. 腰をマットと並行に保ちながら、左ひざを曲げて、かかとの真上にくるまで左足を踏み込みます。
ひざが身体の内側に倒れこむ(この場合は「前」に対して右に傾く)と、じん帯などを痛める危険があります。
ひざが傾いていると、足の裏の小指側がマットから浮き上がります。
足の裏に均等に力が掛かっていないようなら、いったんひざを伸ばして足裏をしっかりマットに付けて、もう一度やり直してみましょう。
また、ひざがかかとより前に出てしまうと足首を痛める危険があります。
ひざが鋭角に曲がると、本来伸ばすはずの太もも辺りが充分に伸びず、すねを足首の前側に辺りに負荷が掛かります。
おかしいな、と感じたら、もう少し両足の間を広げてみましょう。
5. 腰に当てた手を離し、両腕を胸の左右に大きく広げます。
腕の位置を肩の高さにまで上げて、左腕は左ひざと同じ方向に伸ばし、右腕は左腕の逆方向に伸ばします。
両手を身体から遠ざけるようなイメージで、両腕を強く伸ばしましょう。
お腹に力を入れて両足でしっかりとマットを踏みしめ、下半身を安定させるとともに、胸を開き、肩をラクに保って、両手の指先を遠くに伸ばしていきます。
6. 顔を前に向けて、そのまましばらくキープします。
呼吸を忘れずに。
普段あまり伸ばさないようなところに負荷がかかると、ついつい呼吸も浅くなります。
ゆったりと呼吸を繰り返しながら、呼吸によって生み出されたエネルギーを足の先から手の指先まで行き渡らせて、全身の活力を引き出していきましょう。
7. 左ひざを伸ばして元の姿勢に戻り、左右を入れ替えて行います。
自分の身体の左右を比べて、伸び方、曲がり方の違いを感じてみましょう。
ポーズの説明はここまでです。

NAWO先生の言葉でポーズをイメージして、思い思いにポーズを取る皆さん。
続く練習時間では、左右を入れ替えて練習します。
サポーターさんが回って、それぞれの方の身体の状態に合わせてアジャストしていきます。
最後に全員で揃って今日の練習の成果を披露。
腕がきれいに伸びて、いい感じですね。
練習を重ねればもっとよくなりますよ。

 

次のポーズは「ヴルクシャーサナ(木のポーズ)」
片脚で立つバランスポーズです。
木のポーズですから、古くて大きな樹をイメージしましょう。
大地を食らうかのように力強く地中へ食い入る太い根っこ、長年の風雪に耐えて立ち続ける堂々とした幹、すべてを包み込むように広がる枝と無数の葉っぱたち。
そんな威厳と風格に満ちた力強い樹になりましょう。
安全確保のためと、姿勢の確認のために壁を使って行います。
ここからポーズの説明です。
1. 壁を背にして立ちます。
この「立つ」という姿勢も、ヨガのポーズのひとつ。
「タダーサナ」と言います。
いつもの服のサイズよりワンサイズ小さい革のつなぎに、身体を押し込んだところを想像してみてください。
ピッタピタに締めあげられて、あとは前のジッパーを上げるだけ。
脚を揃え、上に向かって身体を伸ばし、おへその下に力を入れて、お腹を凹ませジッパーを上げます。
一呼吸したら、今度は胸を反らせて一気に首までジッパーを引き上げます。
どうでしょう?
縦に伸びた分だけ身体全体が中心に向かって寄ってきます。
この身体の中心の軸を覚えておきましょう。
軽くあごを引いて、ふーっと肩の力を抜いたら、「タダーサナ」の出来上がりです。
壁を使って「出っ尻」になっていないか確認しましょう。
出っ尻だと、体重が真っ直ぐ脚に掛かっていかないので、バランスが取りづらくなります。
2. 左の足裏全体でマットを捉え、左足に体重を掛けていきます。
姿勢が安定したら、右のかかとをマットから離して左の内くるぶしの辺りに付けます。
右の足先はマットに付いていて構いません。
バランスを崩さずに立っていられるようなら、かかとの位置をもう少し上げてみましょう。
右の足先をマットから完全に離して、右のかかとを左脚のふくらはぎの辺りまで持ち上げます。
ふくらはぎでも余裕で姿勢を安定させられるという方は、思い切って右のかかとを左の太ももの付け根辺りまで上げてみましょう。
なお、右の足裏を左のひざ辺りに付けてしまうと、ひざを痛める可能性があります。
ひざ周辺は避けて、右足の位置を決めましょう。
3. 胸の前で手を合わせ、合掌します。
内側に押し合うようにして中心軸を作ります。
4. 合掌した手を天井に向けて上げていきます。
身体を真っ直ぐ縦に伸ばして、そのまましばらくポーズをキープ。
自分の呼吸を見つめます。
呼吸が浅くなっているようなら、意識して深くゆっくり呼吸してみましょう。
5回、10回、ゆったりした呼吸を繰り返します。
5. 腕を降ろして合掌を解き、右足をマットに降ろしてタダーサナの姿勢に戻ります。
6. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。

人間のバランス感覚は、その多くを視覚からの情報に頼っています。
このため、一般的に視覚に障がいのある方はバランス系のポーズが苦手と言われています。
といっても、バランス感覚はやっぱり必要なわけで。
怖がらずに勇気を出して、でも焦らずに、少しずつ練習していきましょう。


練習時間の後は、思い切って壁から離れます。
全員で大きな輪を作り、両隣の人と手を繋ぎます。
このまま片足を上げて、繋いだ手を上げてポーズを取ります。

お互いが支えとなって、安定した輪が出来ています。

そこに登場したのが江戸川タイフーン。
NAWO先生が力いっぱい団扇であおいで回ります。
風を受けても倒れない樹になれ、そんな願いを込めて、輪の中を舞うように風を送るNAWO先生。
まさかの展開に思わず大笑いしながらも、風を受け止めてしっかりと立ち続ける皆さんなのでした。


自分のマットに戻って、うつ伏せの姿勢で横になります。
顔の前に両手を重ね、その上に額を乗せて休みましょう。

 

次のポーズは「シャラバーサナ(バッタのポーズ)」
お尻の引き締め、背筋の強化などの効果があります。
お腹のマッサージになるので、胃腸の調子も整います。
ここからポーズの説明です。
1. うつ伏せの姿勢になります。
両腕は身体の横に伸ばして、手のひらを天井に向けます。
おでこはマットに付けます。
両脚は腰幅程度に開き、足の甲をマットに付けます。
2. 下腹部を身体の内側に引き入れるようなイメージで、下っ腹に力を入れて腹圧を高めます。
3. 息を吸って、両脚を太ももの付け根から天井に向かって持ち上げます。
ピンと張ったバッタの羽根のように、両腕もマットから離して後方に伸ばします。
身体全体を縦に伸ばすつもりで、手指や足先を後方斜め上に向かって伸ばしましょう。
身体を反らすことを意識すると呼吸が止まってしまいます。
呼吸を続けながら、手足を後ろに引っ張られて胸が開く、そんなイメージで行ってみましょう。
ポーズの説明はここまでです。
真剣にポーズと向き合う皆さんの表情が素敵です。

 

次のポーズは「バッダコーナーサナ(合蹠(がっせき)のポーズ)」
「蹠(せき)」というのは足裏のこと。
手のひら同士を合わせることを合掌と言うのに対し、足裏同士を合わせることを合蹠と言います。
股関節のストレッチ、骨盤矯正などの効果があると言われています。
ここからポーズの説明です。
1. 胡坐の姿勢から脚を広げて、左右の足裏を重ね合わせます。
足の裏は全体をピッタリ密着させなくて構いません。

2. 合わせたかかとを恥骨の方に寄せます。
太ももをマットに近づけて、股関節を広げます。
太ももとマットの間に大きな隙間が出来てしまう場合は、太ももの下にクッションや畳んだブランケットなどを敷いて支えにします。

3. 左右のお尻の肉を外側にかき出して、姿勢を安定させます。
骨盤が後ろに倒れている方は、胡坐の姿勢だと上半身が後ろに行ってしまい、バランスを取るために猫背になります。
お尻の下に畳んだブランケットなどを敷いて、お尻をかかとより高い位置に置くと座りやすくなります。

4. 両手の人差し指と中指を、両足の親指と人差し指の間に引っ掛けたら、息を吸って背骨を伸ばします。

5. 吐く息とともに、上半身を前に倒していきます。
あごを軽く前に出して、背中が伸びた状態を保ちながら、股関節を使って身体を倒します。
力ずくで身体を前に倒そうとすると、背中が丸まってしまうので、力まず股関節を使うことを意識しましょう。
ポーズの説明はここまでです。


どうでしょう?
呼吸は出来ていますか?
力んでしまうとどうしても呼吸が止まります。
力まず身体を柔らかく保って、自然な呼吸を続けながらポーズを取っていきましょう。


それではポーズから抜けて、体育座りの姿勢になりましょう。
両手をお尻の後ろに付いて上半身を後ろに倒します。
両ひざを揃えて右に、左にと代わりばんこに倒して、脚の緊張をほぐしていきましょう。
ひざを5回ほど左右に振って脚をほぐしたら、体育座りの姿勢に戻ります。

 

今度は「舟のポーズ」です。
腹筋、背筋の強化、太ももやヒップラインの引き締めなどに効果があります。
ここからポーズの説明です。
1. 体育座りの姿勢になります。

2. 左右の手をひざの裏に引っ掛けるようにして掴みます。

3. 背中を真っ直ぐに伸ばします。
あごを引いて首の後ろを伸ばし、下っ腹を引き締めます。
上半身で大きな1枚の板を作りましょう。

4. 姿勢を変えずに体重を後ろに少しずつ移動させ、両足をマットから浮かせます。
下っ腹にしっかり力を入れて、バランスを取ります。
出来る方はさらに足の位置を高くして、すねとマットが平行になるところまで脚を上げてみましょう。

5. 余裕のある方は両手をひざの裏から離して、「前へ倣え」のかたちで両腕を真っ直ぐ前方に伸ばしてみましょう。

皆さん案外余裕の表情でこなしていますが、両手を離すと結構しんどい。
しかもこれ、足の高さを上げるほど加速度的に難しくなるポーズなんです。
家で練習するときは、くれぐれも後ろにひっくり返って頭をぶつけたりしないよう気をつけてくださいね。
ポーズの説明はここまでです。




 

ポーズのかたちだけを追いかけると、ついつい力んでしまって、自分でも気づかないうちに呼吸が止まっていることがあります。
無理なく呼吸を続けられるところが、今の自分の居るところ。

自分の居場所を見極めたら、あとは練習あるのみです。
地道な努力だけが、自分を次のステップへと導いてくれます。

 

足を降ろして、胡坐の姿勢になりましょう。
ここからは「瞑想」の時間。
静かに自分の身体と心を見つめていきましょう。

胡坐の姿勢で座り、背中を伸ばします。
姿勢が安定しない方は、座布団でもクッションでも、手近にあるものをお尻の下に敷いてみましょう。
左右の手をひざの上に乗せ、手のひらを天井に向けます。
目を閉じて、呼吸は鼻から。
ゆったりと、自分の自然なリズムで呼吸します。

自分の背骨を感じてみましょう。
吸う息とともに、縦に伸びていく身体と背骨。
吐く息とともに、下に沈む身体と背骨。
ゆっくりと、背中の緊張をほどいてリラックスさせていきましょう。
背骨の下には骨盤があります。
骨盤を構成する骨の中で、一番下にあるのが座骨。
今座っている姿勢で、お尻の肉を外にかき分けていくと、左右一対の骨がマットに当たるのが感じられるはずです。
これが坐骨。
左右の坐骨に均等に体重が乗っていますか?
どちらかに偏っているようなら、均等に体重が乗るように姿勢を調整してみましょう。
偏りが無くなることで姿勢が安定します。
姿勢の安定が心の安定に繋がっていきます。

さらに呼吸を続けます。
意識して。ゆっくりと。

今度は腰に意識を向けます。
重い腰を上げる。
この言葉からは、如何にも大儀そうに立ち上がる人の姿が思い浮かびます。
私たちは普段、退屈なときや疲れが溜まって気力が萎えているとき、腰が重たく感じます。
逆に、楽しい時や嬉しいとき、何かに熱中しているときなどは、まるで腰に羽根でも生えているかのように軽く感じて、フットワークも軽やかに身体が動きます。
私たちのやる気や意欲に深く関係している「腰」。
吐く息とともに、身体を重たくしている悪いものが全部外に出ていくところをイメージしてみましょう。
吸う息で、膨らんで伸びていく身体に合わせて、腰がふわっと軽くなるところをイメージをしてみましょう。

さらに呼吸を深くしていきます。
大きく吸い込めば、胸が自然に開いていきます。
猫背で身体が丸まっていると、身体に充分な空気を取り込むことが出来ません。
リラックスして、背中の緊張をほどいて、お腹に、胸に、たっぷりと空気を取り込みましょう。

ゆったりと、呼吸を続けます。
首の緊張もほどいていきましょう。
普段、ボウリングの玉ほどの重さのある頭を支えて、絶えず緊張を強いられる「首」。
頭を前後左右にゆっくりと倒してから、最後にまっすぐ伸びた背骨の真上に首と頭が乗るようにしてみましょう。
位置を調整しながら、首の力が抜けて、くつろいだ状態になるところを探しましょう。

呼吸とともに、全身の緊張をほどいていきます。
警戒心を解き、心の緊張をほどいて、この場、この時のすべてを受け入れて、自分を委ねていきましょう。
自分を守ることに汲々としていたり、義務や責務に縛られて緊張が解けなかったり、怒りや恨み、憎しみにとらわれていたり、そんな状態が続いてしまうと、心も身体もカチカチに固まって閉じてしまいます。
ゆったりとした呼吸とともに、すべて、全部、なにもかも解き放っていきましょう。
呼吸とともに、ゆったりとした心へと導いていきましょう。

いつでもポジティブで前向きな心ではいられません。
悲しくて心が沈むこともあります。
思い通りにならなくて落ち込むこともあります。
欲に目がくらんだり、怒りに我を忘れたりで、あとで後悔することもあります。
もちろん、楽しくて心が浮き立つことも、誰かに感謝されてしみじみと嬉しくなることもあります。
いいんです。それで。

自分の内なる声を聴いていきましょう。
良いところも、悪いところもある。それが今の自分。
良いところを誇張することなく、悪いところに目をつぶることなく、ありのままの自分をありのままに受け入れてみましょう。
評価するのではなく、誰かと比べるのでもなく、ただただそのままに受け入れてみましょう。
良いところは伸ばせばいい。
悪いところは改めればいい。
人はなんにでもなれます。
遅すぎるということはありません。


静かに目を開けて、仰向けの姿勢になりましょう。
「シャバアーサナ」に入ります。
両脚を腰幅程度に広げます。
窮屈だなと思ったら、もっと大きく広げて構いません。
脇の下に少し余裕を持たせ、両腕をゆったりと広げます。
手のひらを天井に向けて、指先を自然に開きましょう。
腰が痛い方は、ひざの下にクッションなどを入れて、軽くひざを曲げてみましょう。
首が落ち着かない方は、枕代わりになるようなものを頭の下に入れてみましょう。
リラックスできる姿勢を見つけて、身体中の力を抜いていきましょう。
ゆったりと呼吸をしながら、全身の緊張をほどいていきましょう。

シャバアーサナは「屍のポーズ」といいます。
ヨガの最後に行う、死と再生を司るポーズです。
いったん死者となり、すべてを捨てていきます。
手のひらを開くのはその象徴。
今あるものに執着し、離すまいと握りしめているその手を開いて、新たな心で再生を果たすのです。

しばし横たわり、沈黙の時を過ごします。


ティンシャの音は目覚めの合図。
死の時を超えて、再生の準備をしましょう。
心臓から遠い手足の指先から、少しずつ動かしていきます。
両腕を頭の上に伸ばして、大きく伸びをしてみましょう。
ゆっくりと身体を横向きにしたら、はーっと息を吐いて、ゆっくりと身体を起こします。

安楽座の姿勢で座り、胸の前で合掌。
一礼して、今日のクラスを終わります。

如何でしたでしょうか?
ヨガ初体験、という方も多く参加された今回のクラス。
集合写真からは、熟睡した後のような(?)、何となくすっきりした表情も見て取れます。
足取りも軽く帰路に就く皆さんを見送って、本日のクラスは終了したのでした。


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

所属部署:業務部

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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