YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.5.22開催(所沢会場)

2016.05.23


2016年5月22日。
きれいに晴れた青空から初夏の陽光が降り注ぐ気持ちの良い午後です。




新所沢駅から会場へと向かう参加者の皆さん。
嵩張る冬の上着から解放されて、心なしか足取りも軽やかです。


着替えを済ませた方から、恒例の準備体操を始めます。
足の指を一本一本引っ張って回したり、足の指の間に手の指を差しこんで指を組み、足首を回してほぐしたり、拳で足裏を軽く叩いて刺激したり。
足指や足の裏には神経が集中しており、全身へと繋がる足裏の反射区の存在も良く知られています。
ここを刺激することで、急な運動で足がつったりするのを予防します。

会場内に響くティンシャの音色はクラスの始まりの合図。
今日はどんなクラスになるのでしょうか。

 今月のテーマは「古典ヨガ・・・現在地確認~今の自分を知る~」

視覚障がいの方が使う「PC-Talker」というスクリーンリーダー(読み上げソフト)では、F9キーを押すとカーソルのある場所を教えてくれます。
先生の本業(国立障害者リハビリテーションセンター 自立訓練部)であるIT訓練の授業では、これを「現在地確認」と呼んでいるそうです。

今日のクラスにも、先生の授業を受けた方が何人か来ていましたが、何故かだ~れも覚えてな~い!

「昔のことなんで忘れました~!」
「Ctrl+M・・・でしたっけ?」
・・・しょっぱなから出ばなをくじかれた先生なのでした。

それはさておき。
迷ったときにまず必要なのは、立ち止まって今の自分の居場所を知ること。
それはヨガの世界でも同じです。
呼吸が止まったら、それはちょっと道に迷いかけた合図。
先へ先へと急がずに、立ち止まって呼吸が出来るか確認してみましょう。
苦しい呼吸しか出来なければ、もう少し楽に呼吸が出来るところまで戻ってみましょう。
そこが今の自分の現在地。

その場所に留まって、呼吸を続けながらポーズをキープしてみましょう。
先生のポーズと同じにならなくてもいいんです。
それが今の自分なのですから。
呼吸はヨガの世界のナビゲーター。
自分の居場所を教えてくれます。
呼吸を通して今の自分を知る。
それが今回のクラスのテーマです。


今日も「あいさつ」からクラスを始めます。
ここからポーズの説明です。
1. 安楽座(胡坐)の姿勢で座ります。
お尻の肉を左右にかき分け、お尻を割って座ります。
左右の手はそれぞれのひざの上に乗せ、頭のてっぺんを上から釣り上げられるイメージで、すーっと背骨を伸ばして胸を開きましょう。
壁を背にして行うと、姿勢のチェックにもなりますし、身体の支えにもなります。
肩の周りの力を抜いて、リラックス。
姿勢が安定しない場合は、お尻の下にクッションや畳んだブランケットなどを敷いてみましょう。
胡坐で座るのが難しい場合は正座でも構いません。

2. 呼吸は鼻呼吸の腹式呼吸。2カウントの呼吸から始めます。
2カウントで吸って、2カウントで吐いて。
それが出来たら3カウントに伸ばします。
ゆっくりと、細く、長く、を意識して。
出来そうだったら、4カウントに伸ばしてみましょう。

3. 両手を胸の前で合わせて合掌、アンジャリムドラーの印を結びます。
感覚・感情を司る右脳と、論理思考を紡ぎ出す左脳とを調和させ、意識を中心に集める効果があります。

4. 一礼して、クラスを始めます。
ポーズの説明はここまでです。


続いて行うのは「パーミング」
手のひらを猛烈な勢いで擦り合わせて温め、温めた手のひらを目の上に被せます。

目を浄化すると言われるこのポーズ。
目の周りの血行を促して目の疲れを軽減したり、集中力を高めたり、心を落ち着かせるリラクゼーション効果もあります。
ここからポーズの説明です。
1. 安楽座、胡坐、正座など座りやすい姿勢で座ります。

2. 手のひらを合わせて、出来るだけ素早く擦り合わせます。
木の枝で火を起こすくらいの勢いで、手のひらに熱を感じるところまで、しっかり擦って温めます。

擦って擦って、ただひたすらに擦り続ける。
力いっぱい手を擦り合せていくうちに、ほんのり手のひらが温まっていきます。
指先にまで熱を感じる頃には、いつしか雑念は手のひらの間に溶け去って、ただ無心に手を擦っている自分に気づきます。

3. 手のひらでお椀のかたちを作り、手のひらの一番下の部分を頬骨に合わせて、手のひらのお椀で目を覆います。

ポイントは、眼球を圧迫しないこと。
手のひらの温もりでじんわりと、目とその周辺を温めます。
熱が逃げないように、光が入らないように、出来るだけ隙間を作らないようにして、しっかりと目を覆います。

4. 背筋を伸ばし、自然な呼吸を繰り返しながら、目を休めてリラックスさせます。
手のひらのかすかなぬくもりを感じながら、ゆったりと気持ちを落ち着かせていきましょう。
ポーズの説明はここまでです。

さらに準備運動は続きます。
ここからは立位のポーズになります。座位の姿勢を解いて立ち上がりましょう。
このクラスでは、中央の先生を取り囲むようにマットが敷かれています。
マットの短いほうの辺が先生の方を向いているので、この先生のほうを向いている辺の方向、つまり先生の声のする方向を「前」と定めています。ご自宅で練習する場合は、あらかじめマットの短いほうの辺のどちらかを「前」と決めておくとよいでしょう。
さて、それではマットの中央に「前」を向いて立ちましょう。

これから行うのは「つま先歩き~やしの木&時計のコンビネーションポーズ」
やしの木のポーズと時計のポーズを組み合わせ、腕や脚を時計の長針と短針に見立てて時間を示します。
高平先生オリジナルのウォーミングアップメニュー。つま先から身体全身の血流を改善します。

まずはつま先立ちの練習から。

両足を腰幅程度に空けて立ちます。
足の内側(親指側)を意識して、そこから上に脚の内側をきゅーっと締める感じで。
まずは壁を使って身体を支えながら、かかとを浮かせてみましょう。
慣れてきたら、かかとの位置を徐々に高くして、つま先だけで立ってみましょう。

次に腕の動きを加えます。
壁を背にして、かかとを浮かせる動きに合わせて両腕を前方から天井方向に振り上げます。
頭の上で両手の指を組み、腕や背中を伸ばします。
つま先で踏ん張って背伸びして、手のひらを出来るだけ高いところまで届かせるように伸ばしていきます。

バランスを崩さずに出来るようになったら、そのままの姿勢でマットの端まで歩きます。
端まで行ったら、回れ右して反対の端まで。
再度回れ右して、マットの中央に戻りましょう。


つま先立ちの感覚をつかんだところで、次に行きましょう。

今度は、ヤシの木のポーズにちょっとだけ時計のポーズの要素を取り入れたオリジナルポーズ。
ここからポーズの説明です。
1. 立位の姿勢で立ちます。
両足の間隔は腰幅程度に開きます。

あごを引いて視線は正面。
まずは、息を吐いてリラックスしましょう。

2. 鼻から息を吸いながら、伸ばした両腕を前方に振り上げ、そのまま天井へと上げていきます

3. 腕が上がっていくのに合わせてかかとを浮かせ、気持ちよく身体を伸ばします。
出来るだけ猫背にならないように、二の腕が耳の横に来るイメージで。

一度壁を背にしてやってみて、身体がまっすぐ真上に伸びる感覚をつかんでおくとよいでしょう。
真っ直ぐに立てているかどうか。
まっすぐ真上に伸びているかどうか。
この感覚はいろいろなところで使います。

時々壁を背にして立ってみると、自分の身体の様子を知ることが出来ます。
これも一つの「現在地確認」ですね。

さて、話を戻します。
両腕を上げて身体をまっすぐ真上に伸ばしたら、今度は呼吸を意識しましょう。
胸を開いてたっぷりと空気を取り入れ、大きく胸を膨らませます。
吸い込む空気が、さらに身体を上へと伸ばしてくれます。

目いっぱい身体に空気を取り込んだら、今度はゆったりと吐き出します。
吐き出しながらも、身体は上へ伸ばすイメージを保ちます。

南の島の浜辺に立つヤシの木が、海からの風を全身に受けて吸収し、優しく酸素を放出しながら上へ上へと伸びていく様をイメージしましょう。

指先はピンと張らずに少し丸めます。
指の先にヤシの長ーい葉っぱがついているとイメージして、柔らかな浜風にそよそよと指先の葉っぱを泳がせてみましょう。

さて、ここからが本番です。

4. 両腕を時計に針に見立てて、先生の言う時間に合わせて両腕を左右に回し降ろします。

例えば、「10時10分」なら身体の中心軸から左右に60度ずつ開きます。

「9時45分」なら、身体の中心軸から左右に90度ずつ降ろして、両腕を水平に開きます。

「3時」なら右腕だけを水平に降ろし、「8時」なら左腕だけを120度降ろします。

「6時半」なら両方の腕を真下に降ろします。

指定された時間に両腕を合わせたら、しばらく息を止めてポーズをキープします。
※暗黙のルール
「2時20分」のように、長針・短針がともに文字盤の左右のどちらかに寄ってしまう時間を指定しないこと。

5. 息を吐きながらかかとを降ろし、両腕も左右に回し降ろして体側に戻します。
ポーズの説明はここまでです。


では続けてやってみましょう。
かかとを上げて、両腕も上げて、身体を大きく上に伸ばして。

「10時15分!」
右腕を水平に、左腕を60度開きます。
「3だから~」などと文字盤を想像しながら腕の角度を合わせます。

「7時15分!」
右腕はそのままで、左腕を太ももから少し離れた辺りまで降ろします。
「そうそう、合ってる合ってる。」
サポーターさんからのフォローも入ります。

「11時14分!」
「14分?」ちょっと戸惑う皆さん。
まあ、14分も15分も大した違いはないのですが(苦笑)。
「デジタル世代だからわかんないな~」なんて声も(笑)。

「じゃあ、次は何時がいいですか~?デジタル世代の長岡さん!」
どや顔で両腕を真上に伸ばしながら、「12時!」

とまあ、こんな感じで何人かでやってみるのも盛り上がりますね。


続いて、今度は脚を使ってやってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 脚を腰幅に開いて立ちます。

2. 右太ももを上げて、太ももの下で両手を組んで抱えます。
ひざは曲げておいて構いません。
肩が前に出てしまうので、背中が丸まらないよう胸を開きます。

3. 今度は両脚が時計の針になります。
身体の左側が文字盤の表側だとしましょう。
「8時半」なら、軸足の左脚に対して右脚を60度上げて伸ばします。
呼吸を止めずに、しばらくポーズをキープします。

4. 右脚を降ろして、立位の姿勢に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。
それではもう一度やってみましょう。
お気づきの通り、脚が時計の針ということは、軸足になる片方の脚は必ず30分を指します。
時間が進めば角度も上がっていくわけで・・・。

「9時半!」
片手を壁について身体を支えたりしながら、皆さん果敢にチャレンジします。
現在地確認。呼吸を忘れずに。

「次、10時半!」
そりゃ無理ですって、センセ。


全身運動でだいぶ身体もほぐれてきたところで、次のポーズに移ります。

「Vrksasana(ヴリクシャーサナ:木のポーズ)」
準備運動から引き続いて片脚立ちのポーズです。
集中力を高め、心身を鍛え、腰から下の気の流れを円滑にすると言われています。
壁のそばで身体を支えられるようにして行ってみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 両脚を揃えて立ちます。
タダーサナ(山のポーズ)です。
まず、足指を広げてマットを捉えます。
手を使って足指を広げてみましょう。気持ちよくマットを掴むことが出来ます。

身体の中心軸を意識して、脚、骨盤、背骨と上に向かって伸ばしていきます。
あごを引いて胸を開き、肩の力を抜いてリラックスさせます。

2. 右かかとを浮かせて、左足の内くるぶしに付けます。
右の足指の付け根辺りが、左のかかとの内側に来ます。

3. 両手を腰に当て、骨盤が左右に傾かないように、水平を保ちます。

4. 右足のかかとの位置を、上げられるところまで上げてみましょう。
まず、右の足裏をマットから離して、足首の内側に付けてみましょう。
まだいけそうなら、ふくらはぎの内側へ。
もっといけそうなら、ひざの内側へ。
まだまだ大丈夫でしたら、右手で右の足首を持って、かかとが股関節に触れるところまでグイッと引き上げてみましょう。

5. 鼻から息を吐きながら、右足を降ろしてタダーサナに戻ります。

6. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。

練習時間は2~3人で1組になって行います。

組になった相手と手を繋いで支えあいながらポーズを取ります。
繋いだ腕が伸び切る程度まで上の方に上げると、お互いに押し合って壁に手を付いて支えている感覚でポーズを取ることが出来ます。

そしてもうひとつ。
大事なのは笑顔。

笑っていられるということは、リラックスしてポーズが取れているということ。
先生のポーズと同じでなくても、自分の自然な呼吸で、笑ってポーズが取れていればそれでいいのです。

最後はお互いの手を離し、自分一人でポーズを取ります。
バランスを崩しそうになったら、足を付いても手を壁について支えても構いません。
自分を信じて、周りの人を信じて、勇気を出してちょっとだけチャレンジしてみましょう。

 
続いてのポーズは「Ardha matsyendrasana(アルダ マッチェンドラーサナ:半分のねじりのポーズ)」
正座の姿勢から脚を崩し、上半身を水平方向にねじるポーズ。
右の写真は完成形ですが、なかなかここまでは出来ませんので、今回はその手前の段階までを練習します。

このポーズは、糖尿病を緩和するすい臓を刺激するとともに、腰痛を緩和します。
また、心を静め落ち着かせる効果があります。
ここからポーズの説明です。
1. 正座の姿勢で座ります。
正座が出来ない方は長座の姿勢になります。

2. かかとの上に載ったお尻を浮かせ、正座した脚の左側の床に降ろします。
正座で脚が痺れて崩したときの姿勢ですね。

3. 右ひざを曲げたまま右脚を立て、右の足先を左ひざの外側(左側)に動かします。
右の足裏をマットに付けて、足先は正面に向けます。

左右のお尻はマットに付いていますか?
左のお尻が浮いてしまって姿勢が安定しない方、背中が丸まってしまって呼吸が苦しい方、腰が痛む方は、左脚を前に伸ばしましょう。

長座の姿勢で始めた方は、まず右ひざを立てて、それから右の足先を左ひざの左側に置きます。

4. 背骨を伸ばして、お腹と右の太ももをくっつけるつもりで、右ひざを両手で抱えて引き寄せます。

5. 身体を右にねじっていって、右の手のひらをお尻の後ろに付きます。

6. 息を吸ってもう1センチ背中を伸ばし、息を吐いてもう1センチ身体を右にねじります。
左にある内臓を右にグイッとねじる感じ。

息を吸って上に伸びて、息を吐いてさらにねじる。
1センチ、そしてまた1センチと、少しずつねじりを深めていきましょう。
背骨の下の方から、らせん階段を作るようにねじっていきます。

肩に力が入っているようなら、鎖骨を下げる感じで力を抜きましょう。

呼吸が出来なくなったり、眉間にしわが寄ってきたりしたら、それは行き止まりのサイン。
1センチ弛めて、笑顔で呼吸のできるところまで戻りましょう。
そこが今日の自分の現在地です。

7. まだまだ余裕のある方は、左腕を伸ばして右ひざの外側(右側)に付けます。
左腕で右ひざを押して、胸を開いてさらにねじります。

そして、左手で左ひざを掴みます。これが完成形。
余裕のある方は挑戦してみましょう。

8. 右の肩の先を見るように、顔も後ろにねじります。
呼吸のできる範囲で、ですよ。

9. 自分の現在地でしばらくポーズをキープします。

10. ゆっくり4~6カウントくらいで身体を正面に戻し、両腕でひざを抱えて身体を丸めます。

11. 脚をほどいて正座あるいは長座の姿勢に戻ります。

12. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
練習時間に入ると、会場内は一気に賑やかになります。
絶えず笑い声が響き渡る会場からは、様々な声が聞こえてきます。
「いてててて!」
「お腹の肉が~」
「そうか、手が届かないのは脂肪じゃなくて腕が短いんだな」

それぞれの現在地で、いろんな気づき(?)があったようです(笑)。

続いてのポーズは「Paschimottanasana(パスチモッターナアーサナ:長座の前屈)」
前屈といえば、もはや説明は不要ですね。
身体か固い、柔らかいというときに、誰もがイメージするのは前屈の角度、と言っても過言ではないでしょう。
長座の前屈には腎臓、肝臓、すい臓など、内臓のマッサージ効果があり、糖尿や低血糖の方に最適なアーサナとされています。
注意力を高める、鬱を克服するなどの効果もあります。

ここからポーズの説明です。
1. 長座の姿勢で座ります。
腰に不安のある方は、足先を腰幅程度に広げておきましょう。

2. 息を吸いながら、両手を後ろから上へ回し上げて胸を開き、背骨を伸ばします。
左右の二の腕を耳の横の位置に合わせます。
ここからは、ポーズから抜けるまで、二の腕の位置が耳の横から外れないよう意識しましょう。

3. 息を吐きながら背骨を真っすぐに伸ばし、ゆっくりと上半身を前に倒します。
伸ばした腕と背骨のラインは一直線に繋がった状態で、股関節を使って上半身を倒します。
指先を先へ先へと伸ばすイメージで前屈しましょう。

時々、腕を顔の方に寄せて、二の腕が耳に当たるか確認してみてください。
腕だけが前に行ってしまっていませんか?

腰痛のある方は痛みの出ない範囲で。

高血圧の方、眼圧の高い方は、長い時間下を向いた姿勢を続けると悪影響が懸念されるとの医師からのアドバイスを頂いています。
長時間のキープは避けて、自分の「現在地」で2~3呼吸程度キープしたら身体を起こしましょう。
「下を向くほど曲がらない」という方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、念のためです。

4. 息を吸いながら上半身を起こします。
ポーズの説明はここまでです。
それぞれの「現在地」を確認するために、少しずつ角度を深めていきます。

まず、脚のラインと上半身~腕のラインを90度に合わせます。
指先と頭のてっぺんを天井に向けて引っ張り上げる感じで、上半身を垂直に立てましょう。

息を吸って、天井に引っ張られる感じ。
一度壁を背にして長座で座ってみて、90度の感覚を掴んでおくと良いでしょう。

息を吐いて、引っ張られて伸びたかたちのまま、股関節を使って60度まで身体を倒します。
目の前にバカでかい三角定規が立ててあると想像してください。
三角形の一番短い辺が床に付いていて、斜辺(三角形の斜めの辺)が目の前に伸びています。
この斜めの辺に上半身を添わせるように身体を倒してみましょう。

さて、ゆったりと呼吸は出来てますか?
どこかに痛みはないですか?
それではいったん戻ります。

息を吸って、もう一度天井に向かって伸びて。
吐きながら、今度は先ほどより少し深く、45度まで倒します。
股関節から身体を折って、中指を遠くに遠くにと伸ばします。

呼吸が苦しい方、二の腕が耳から離れてしまった方、笑顔が引きつってきた方、少~し身体を戻してみましょう。
楽に呼吸が出来るポイントが見つかったら、そこが「現在地」です。

いったん戻して、まだ余裕のある方は、今度は30度まで倒してみましょう。
この辺まで来ると、出来ているつもりでも、背中が丸まってしまったり、腕だけが前に行ってしまっていたりしがちになります。
胸を開くことを意識して、時々腕を顔の方に寄せてみて、腕がちゃんと耳の横にあるかを確認してみましょう。

まだまだ余裕です!
そんな方は0度、つまり顔が脚に付くところまでいってみましょう。


「現在地」は今居る場所です。
弛みない練習で前にも進みますし、油断して怠れば後ろにも下がります。

今は90度の姿勢が精いっぱいでも、一日0.1度ずつ角度を深めることが出来れば、計算上は2年半くらいで0度まで曲がるようになるんですよ。
継続は力。
「石の上にも三年」とは良く出来た言葉ですよね。
 


さて、今日のクラスもいよいよ大詰め。
仰向けになって、リラックスのための前準備のポーズを取っていきます。
その名も「ゴキブリのポーズ」
殺虫剤を掛けられて、ひっくり返ってピクピクしているゴキブリのイメージです。

仰向けの姿勢で、両手両足を天井に向けて伸ばして、痙攣するようにブルブルと動かします。


声も出します「あ~!」
思い切り声を出したら、脱力して大の字。

次行きます。
両手をグーにして、両腕、両脚を突っ張って思い切り力を入れます。
さらに、両手と両足をマットから5センチ浮かせます。
そのままの姿勢で声を出します。「あ~!」
思い切り声を出したら、脱力します。

さらに今度は、今のポーズに「ライオンのポーズ」を組み合わせます。
手足は今と同じで、ライオンのポーズの顔の部分、思い切り舌を出して声を出す、というのを組み合わせます。

それでは早速やってみましょう。
「ヴェ~!」

思い切り声を出したら、脱力して目を閉じます。
脇の下にやや隙間を空けて、手のひらは天井に向けます。

脚は腰幅程度に開いて、リラックスしましょう。
照明が落とされ、少しずつ静けさを取り戻していく会場。
「シャバアーサナ」に入ります。

今回も「香り:Pukarani」の松村さんが調香した香りが会場内に彩りを添えます。
南国の太陽が育んだ生命の香り。
穏やかでありながら、その奥に脈々と息づく生命の営みを感じさせる、そんなイメージの香りです。
ほのかな香りに包まれながら、全身の力を抜いて、目覚めと眠りの中間点で休息します。

今日のテーマは「現在地確認~今の自分を知る~」
ナビゲーターは呼吸と笑顔。
それが今の自分の居場所を教えてくれます。

そして、いろんな気づきを与えてくれます。
身体が固いとか、呼吸が浅いとか、腕が短いとか(笑)。

気づきは自分だけのもの。
他の人にはわかりません。

教わって得られる気づきもあれば、自らやってみることで得られる気づきもあります。
だから、まずは自分でやってみることが大切なのですね。
最初から全部教わってしまったら得られない気づきもあるのですから。

そうした無数の気づきこそが、広大無辺なヨガの世界での道標となるのです。
自分の行きたいところ、自分の目指す「目的地」を見つけ、そこに辿り着くための道標。

教わったポーズを、家でもう一度練習してみましょう。
右と左で全然違う自分の身体。
得意なポーズと苦手なポーズ。
同じポーズでもその時々で違う感じ方。
昨日の自分と今日の自分。
進んでいたり、後戻りしていたり、足踏みしていたり。
そして明日の自分は・・・・。

いったい自分は今どこに居て、これからどこに行こうとしているのか。
ポーズを深め、気づきを重ねる中に、きっと見えてくるものがあります。


鐘の音に合わせて、目覚めの準備をします。

両手両足の指先から動かして、ひざを立てて少しずつ身体を左右に揺すります。
身体の右側を下にして、左手を身体の前に付いて、頭が最後になるように身体を起こします。




最後は安楽座の合掌であいさつ。
今日のクラスを終わります。
いつものように賑やかに帰路に就く皆さんに先生からひと言。
「現在地確認はF9キーですよ~!」


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

所属部署:業務部

好きなもの:温泉
好きなスポーツ:トレッキング

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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