YOGA

「チャレンジド・ヨガ」~視覚障がい者のためのヨガクラス~2016.6.26開催(所沢会場)

2016.06.27


2016年6月26日。
ここ新所沢は、雲が多いながらも時折晴れ間も覗く、梅雨らしからぬお天気。
とはいえ、この湿り気を帯びた空気は、やはり梅雨の時期独特のものですね。
数か月前には葉っぱ1枚無かった街路樹も、緑濃くたくさんの葉を茂らせています。
もう夏は目の前ですね。


新所沢駅の改札前には、参加者の皆さんが集まっています。
ちょうど、サポーターさんと一緒に会場に向けて出発するところでした。

会場までは、駅前ロータリー正面の通りを道なりに進みます。

白杖をついた30人の団体が徒歩での移動は、それ自体が結構大変なことですが、この街の皆さんは自然な感じで避けたり待ったりしてくれていました。

優しい街ですね。この街は。
 




今月は、横須賀クラスのインストラクターのYumi先生とのコラボ企画です。
前半はYumi先生の椅子ヨガ。
テーマは「根っこの土台を安定させる」
後半は高平先生の古典ヨガ。
テーマは「シャンティ♪ シャンティ♪♪ シャンティ~ィ♪♪♪ shantiって?」

前半のYumi先生の椅子ヨガで、上半身、下半身をしっかりほぐして身体の土台を作ります。
後半の高平先生の古典ヨガでは、ヨガで良く使われる大切な言葉の1つ「シャンティ(Shanti)」をテーマに、ポーズや呼吸を通して、その意味を感じていきましょう。
「シャンティ」
この謎の言葉の意味するものは、クラスの中で徐々に明らかになっていきます。
それではクラスの様子を見ていきましょう。


いつものように、最初は「あいさつ」から始めます。
今日は椅子ヨガなので、椅子に座って行います。
胸の前で合掌。
背もたれに寄りかからずに、背中をスッと伸ばします。
脚は腰幅程度に軽く開いて、足の裏を床に付けます。
一度肩をぐーっと持ち上げ、肩先を耳たぶに近づけたら、肩の力を抜いて、すとんと下に落とします。
鼻から息を吐いて、息を吸って。
力まず自然に、肩の力は抜いたまま。
胸を開いてゆったりと呼吸します。
合掌のまま一礼。
本日のクラスを始めます。

ここからは、Yumi先生の椅子ヨガのパート。
椅子に座って行います。
ここでは会議室によくあるパイプ椅子のような椅子を使っていますが、ご家庭にはそういう椅子はなかなか無いでしょうから(笑)、背もたれがあって、ひじ掛けが無く椅子の左右が開いていて、座面が平らな椅子があったらそれを使ってみてください。


それでは上半身からほぐしていきます。

まず、少しお尻の位置を前に出します。
背もたれから身体を離して、浅めに腰かけましょう。
脚は腰幅程度に軽く開いて、足の裏全体をマットに付けます。
背筋を伸ばし、肩を下げて、リラックス。


深呼吸しましょう。
息を吸って、両腕を伸ばして前から回し上げ、天井に向けて真上に伸ばします。
頭の上で両手を合わせ、息を吐きながら合わせた手を降ろして、胸の前で合掌。

ゆったりと呼吸しながら、何度か繰り返します。
重力に逆らって、身体を上に伸ばしていきましょう。


今度は、胸の前で両手の指を組んで、そのかたちのまま両手を前に出します。

太ももの上に大きな風船が乗っかっているところをイメージしてみましょう。
風船の向こう側に両腕を回して指を組むと、胸の前に輪っかが出来ますね。

次に、息を吐きながら手の甲を前に押し出し、背中を丸めて首の後ろを伸ばし、視線をおへそに向けます。
背中が引っ張られて横に広がるの感じます。

息を吸って、腕をもとの輪っかのかたちに戻して身体を起こします。

繰り返してみましょう。

息を吐きながら、手の甲をぐーっと前に突き出します。
背中を丸めておへそを見ます。
息を吸いながら、背中の緊張を弛めて身体を起こし、視線は正面に。

今度は、手の甲を正面ではなく右斜め前に向かって押し出します。
身体に捻りが加わり、背中の左側がさらにぐっと引っ張られて伸びていきます。
吸って姿勢を戻して、今度は左斜め前に。
右の肩甲骨をググッと伸ばします。

もう一度繰り返します。
自然な呼吸で吐きながら、右へ。

吸って顔を起こして、今度は吐きながら左へ。
息を吸いながら、身体を正面に戻します。
 


今度は、指を組んだまま両腕を前から天井へと回し上げます。
くるっと手のひらを返して天井に向けます。

お尻のほっぺたと手のひらとで引っ張り合いをしましょう。
お尻を椅子に押し付けるようにしながら、手のひらを天井に向かって伸ばします。

身体が縦に伸ばされていきます。

腕を降ろして、組んだ両手を胸の前へ。

もう一度、手のひらを太陽に向けるイメージで、両腕を頭上に伸ばします。

息を吸って、身体をいっぱいに伸ばしたら、息を吐きながら身体を右に傾けて、身体の左側面を気持ちよく伸ばします。

息を吸って身体を真ん中に戻し、吐きながら今度は左側に倒します。

身体の右側をストレッチ。
身体を伸ばす心地よさを存分に味わいましょう。

 


身体を真ん中に戻して両腕を降ろし、左右の手をそれぞれの肩先に置きます。

ひじを前に出します。

次に、ひじを左右に開いて耳の横に。

今度は、脇を締めてひじを下へ。

この動きを繋げて、ひじで丸を書きます。
ひじをゆっくりと前へ。出来る方は目線の高さまで。

続けて、ゆっくりと左右に開きます。
ひじが耳の横に来るイメージで、肩甲骨を絞って肩を開きます。

さらに続けて、ゆっくりと下に降ろします。
脇を締めて、肩を弛めて。

そのままもう一度前へ。これを繰り返して何度か円を描きます。
ゆっくりと。
1周に10秒くらい掛けるつもりでのんびりと動かしましょう。

同じ要領で反対周りもやってみましょう。
ゆっくりゆっくり回します。
ストレッチは勢いでやるものではなく、関節の間をじんわりとほぐして可動域を広げていくものですから、勢いよくグルグル回すより、こうやってのんびりと回した方がいいんですよ。


それでは腕を降ろしましょう。

腕を身体の横に垂らして、左右の手で椅子の座面の横の部分を掴みます。
今度は首と肩のストレッチです。

まず、右手を支点にして身体を支えながら、息を吐いて頭を左に倒し、首と右肩を伸ばします。

人間の頭は体重のおよそ10%を占めるというほどの重さがあります。
これを使って、じんわりと負荷をかけて伸ばしていきます。

では、一度戻して。
今度は左右を入れ替えます。

息をふーっと吐きながら、頭を右に倒します。
そのままの姿勢で、ゆったりと呼吸を繰り返しながら、首と左肩がじんわりと伸びていくのを感じます。

では、真ん中に戻しましょう。
左右の手で座面を掴んだまま、今度はあごを引いておへそを見ます。
首の後ろ側のストレッチです。

もう一度真ん中に戻しましょう。

次は胸を開いていきます。
左右の手を後ろにずらして、背もたれと座面の付け根のところを掴みます。

お尻の位置を少し前に出してみましょう。
それから、胸を前に押し出します。
背中にしわが寄って、胸を開きます。
浅く腰かけているので、肩が後ろに引っ張られて胸が開きます。
姿勢改善、猫背解消になります。

息を吸って、胸を大きく広げます。
息をふーっと吐いて、背中を丸めておへそを見ます。

もう一度いきましょう。
息を吸って、胸を前に。
肩甲骨を中央に寄せて、胸を大きく広げます。

上半身のほぐしはここまで。
両手を前に戻しましょう。

続いて、脚のほぐしに入ります。
左右の脚を一歩ずつ横に開きます。
両手を左右のひざの内側に添えて、背中を伸ばします。

右のひざの内側に添えた右手で、右ひざを身体の外側に向かって押しながら、息を吐いて左の方を見ます。
背中を伸ばした姿勢のままで、上半身を軽く前傾させ、右肩を身体の内側に入れる感じで上半身全体を左にねじって、顔を左へ向けていきます。

吸って戻して、左右を入れ替えます。
左手で左ひざの内側を押して、息を吐きながら身体をねじって右を見ます。

野球好きの方は、イチロー選手の股割りストレッチの動きをイメージしてみてください。
あれを椅子に座って行うと、ちょうどこんな感じの動きになります。

息を吸って身体を起こし、視線を正面に戻して、横に開いている脚を閉じましょう。


今度は、ももの付け根を回します。

お尻の位置を、握り拳ひとつ分くらい後ろに下げます。
背もたれに身体が触れない程度の位置に座りましょう。

足の裏はマットに付けておきます。
背中を伸ばし、腕を身体の横に降ろして、左右の手で座面を掴みます。

おへそから指3本下にある「丹田」をぎゅっと締めて、右脚をももの付け根から持ち上げます。
腰や背中を丸めずに、ももの付け根、いわゆるコマネチラインの奥にある股関節を使って、太ももを座面から浮かせます。
ひざは自然に曲げておいて構いません。

一度脚を降ろします。

どうでしょう?
下腹部に力が入った感覚はありましたか?

今度は左脚でやってみましょう。
左右の手で座面を掴んで背中を伸ばし、肩を下げて、お腹を締めて、左脚の太ももの付け根から左脚全体を浮かせます。

では、脚を降ろします。
次に、今意識して頂いた太ももの付け根、股関節を回していきます。
先ほどと同じ要領で右脚を上げ、足で円を描きます。
ひざから下は動かさずに固定して、股関節を使ってゆっくりと、大きなマルを描いていきましょう。

左脚でも同様に行います。
背中が丸まらないようにピンと伸ばして、下腹部をキュッと締めておくのを忘れずに。

今度はもう少し複雑な動きをさせてみましょう。

右脚を上げて、先ほどの要領で自分の苗字をひらがなで書きます。
複雑な動きをさせることで、股関節回りの筋肉をまんべんなく使っていきます。
同様に、左ひざで自分の名前を書いてみましょう。

脚に意識が行ってしまうと、いつの間にやら背中が丸まってしまいます。
あちこちで「あ、丸まってる」なんて声も聞こえてきます。
いいんです、それで。
気づけるということは、意識向けがしっかり出来ている証拠です。

書き終わったら脚を降ろして、太ももの前側をなでなでなで。
筋膜をマッサージしておきましょう。


ここからは、椅子を使ってヨガのポーズを取っていきます。
最初のポーズは「タダーサナ(山のポーズ)」
ヨガのポーズの基本中の基本。
立位のポーズはすべてタダーサナの姿勢から始まると言っても過言ではありません。

先ほど、下腹部をキュッと締めて太ももを上げるというのをやりましたが、この締めたお腹の部分、丹田を土台にして、背中を伸ばして立っていくポーズです。
今回は、椅子に腰かけたタダーサナを行っていきます。
背中がすっと伸びた、きれいな座り方をマスターしましょう。
正しい姿勢は、美しく見えるだけでなく、身体にも優しい。
そんなことを感じて頂けたらと思います。
ここからポーズの説明です。
1. まず、お尻の位置。
お尻が座面に乗っていて、太ももは座面から出るくらいの位置に浅く腰かけます。
お尻は左右に傾かず、均等に体重が掛かるように。

2. 腰骨は正面に向け、脚は閉じて揃えます。

3. ひざから下を前に投げ出さずに、ひざの下に両足を揃えて、足の裏をマットに付けます。

4. 背中を伸ばします。

5. 息を吸って、両腕を前へ振って天井方向に回し上げます。

6. 吐きながら、腕を降ろして胸の前で合掌します。
丹田を締めて、背中を伸ばして、肩を落として力を抜いて。
ひじは張らずに身体の横に降ろして楽にしておきましょう。

7. ゆっくり4カウントで呼吸します。
鼻から吸って、1,2,3,4。
吐いて、1,2,3,4。

8. 何度か繰り返したら、合掌を解いて腕を降ろし、自分の自然な呼吸に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。


次のポーズは、「戦士のポーズⅠ(ウォリアーⅠ)」
もちろん、椅子を使って行います。
ここからポーズの説明です。
1. まず、マットの短い方の辺のどちらかを「前」とします。
マットの中央に、背もたれが左側に来るように椅子を置きます。
「前」を向いたときに、座面の前後と右側が空いていて、左側に背もたれがあります。

2. 背もたれとおへそが向かい合うように、座面を跨いで座ります。
右ひざが、先ほど決めた「前」の方を向いています。

3. 左手で背もたれを掴み、右手で背もたれと反対側の座面の縁を掴んで、身体を支えながら、身体全体を左方向(マットの「後ろ」の方向)にずらします。

「前」を向いた右ひざが座面の縁に引っ掛かる位置までずらして、おへそを「前」に向けます。

左脚は座面からはみ出させて「後ろ」に伸ばし、足指の腹をマットに付けて、足の裏を立てます。
後ろにいる人に足の裏を見せるようなイメージです。

4. 上半身を起こして骨盤から「前」に向け、胸の前で合掌します。

5. 息を吸って、両腕を前に振って天井方向に回し上げます。バンザイのかたち。

6. 上半身をぐーっと上に伸ばして、呼吸します。
ゆっくりと、大きく、鼻から呼吸。

吸う息で、身体が膨らみ、上へと伸び広がっていくのを感じます。

吐く息で、身体が弛んで股関節がじわっと広がり、土台となる下半身があるべき場所へと収まって安定していくのを感じます。
3呼吸の間ポーズをキープしたら、腕を降ろします。


今のが「ランジのポーズ」
ここから本番の「ウォリアーⅠ」に移行します。


7. 後ろに伸びている左脚の足先、指の腹をつけてつま先立ちのかたちになっている足先を45度~90度身体の外側(この場合は左側)に開いて、かかとをマットに付けます。
浮いていたかかとがマットに付くことで、左脚の裏側全体がさらに伸びます。

8. 両手を上に伸ばして、頭の上で合掌。
そのまま両手を離して、さらに上に伸びます。
そして呼吸。
吐く息で身体を弛め、下半身と椅子とで、どっしりと揺らがない土台を作ります。
吸う息では、下半身の土台に骨盤を支えられながら、天井に向かって上半身を縦に伸ばします。
吸って大きく伸びて、吐いて弛めて、また吸って伸びて。
呼吸を重ねながら、少しずつポーズを深めていきます。

9. 息を吐いて、腕を降ろします。

10. 左右を入れ替えて行います。
背もたれと座面を掴んで身体を支えながら、身体をマットの「前」の方向にずらして、座面の中央、背もたれとおへそが向き合う位置に戻ります。
そこから身体を右方向(マットの「前」の方向)にずらしていって、左ひざを座面に引っ掛けて右脚を伸ばすと、左右の脚のかたちが入れ替わります。
ここからは、先ほどと同様に行います。
ポーズの説明はここまでです。



今回初参加の聴覚障害の方に、自らポーズを取って伝えるサポーターさん。
通い合っている感じが伝わってきて、とても素敵な時間が流れていました。

 



腕を降ろして、もう一度背もたれとおへそが向き合う位置に座ります。
椅子に跨ってお馬さんごっこのイメージ。
脚が「ハ」の字に開いて、両脚のひざから先が座面の外に出ています。
両手を背もたれに添えて、両脚が左右対称に開いて体重が左右のお尻に均等に掛かるように座ります。
ひざは伸ばさずに自然に曲げて、足の裏全体をマットに付けます。



次のポーズは、「ツイスティングランジ」
椅子に跨って股関節を開き、さらに身体をひねって背骨をねじることで、自律神経の調整、内臓の活性化などの効果があると言われています。
ここからポーズの説明です。
1. 椅子に跨った姿勢から、息を吸って両腕を天井に向かって伸ばします。
背中が上にグーッと伸びていきます。

2. 息を吐いて、腕を降ろしながら両手のひらを合わせ、胸の前で合掌します。

3. 合掌の姿勢のまま、一度息を吸って、吐きながら身体を右にねじります。
背骨を下からひとつひとつ右に向けていくイメージ。
ゆっくりと息を吐きながら、右肩を後ろに引いていきます。

ねじった姿勢でしばらくキープ。ゆっくりと呼吸を繰り返します。

4. 息を吸って、両手を上に。バンザイのかたち。
伸びながら身体の向きを背もたれのほうへ戻します。

おへそと背もたれが向き合う位置に戻したら、息を吐いて腕を降ろしながら、両手のひらを合わせて胸の前で合掌します。

5. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。


続いて今度はバランスポーズに挑戦します。
一度立ち上がって、椅子をマットの「前」の方に移動しましょう。今回使うのは背もたれだけなので、座面を「前」に向けて、背もたれが身体の側に来るように置きます。
椅子がずれると危ないので、椅子の後ろ脚がマットに載っているようにしておきましょう。
椅子の後ろで、背もたれに手をかけて立ちます。
背の高い方は、前かがみになっても構わないので、ひじが軽く弛んだ状態で背もたれの上部の横の部分を掴めるような位置まで下がってみましょう。

これで準備はOK。

今度のポーズは「戦士のポーズⅢ(ウォリアーⅢ)」
バランス感覚を養うポーズです。
ここからポーズの説明です。
1. 両手で背もたれを掴んだまま、胸を張って背中を伸ばします。

2. 左足を一歩後ろに下げます。

3. 右足に重心を乗せて、左足を浮かせます。
先ほどから何度か出てきている「丹田」を思い出してください。
身体が左に開かないように、丹田と内ももを締めて、おへそが前を向くように意識しましょう。

バランスがとりづらい方は、左足を完全に浮かせずに、つま先をマットに付けておいて構いません。
慌てずに、両手で身体を支えながらバランスのとりやすい姿勢を探していきましょう。

自信がついたら少しずつ、短い時間でいいのでマットからつま先を離してみましょう。
身体というのは不思議なもので、諦めずに続けていれば、いつか必ず出来るようになります。

4. 姿勢が安定して余裕のある方は、右手を背もたれから離して前に伸ばします。
呼吸を忘れずに。

5. まだまだ余裕があるという方は、左足をさらに高く上げていきます。
もし出来るようであれば、左脚~右手までのラインがマットと水平になるところまで。

左のかかとを後ろに突き出すようにして脚の裏側を伸ばし、右手の先をさらに前へと伸ばし、身体全体が縦に伸ばされていくのを感じます。

6. 息を吸いながら、左足を降ろしてマットに付け、背もたれから手を離して「気を付け」の位置、身体の横に降ろします。

7. 左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
 

次がYumi先生の担当する最後のポーズ。
「ヤシの木のポーズ」です。
南国のビーチといえば、まず連想するのが白い砂浜とヤシの木の組み合わせ。
見上げるほど高く伸びた幹の先に細長い葉を茂らせ、南国の太陽と潮風に身を任せて心地良さげに立つ姿をイメージして、ポーズを取っていきましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 脚を揃え、太ももを締めて、タダーサナの姿勢で立ちます。

2. 両腕を「前へ倣え」のかたちにします。

3. てのひらを「パー」にして、両腕を頭上に回し上げます。
肩関節を回して腕の向きを変えるだけで構いません。

ついついそこから背伸びをするように腕を上へと伸ばしてしまうのですが、そうすると肩が上がってしまうので、肩を下げて肩甲骨をリラックスさせておきましょう。

手のひらは前に向けて大きく開きます。
胸を開き、あごを引いて、背中が丸まらないよう意識しましょう。

4. 息を吸って、左右のかかとを上げてつま先立ちになります。
最初はバランスを保ちながら、かかとをマットから少しだけ浮かせてみましょう。
慣れてきたら、少しずつかかとを高く上げていきましょう。

5. しばらくつま先立ちの姿勢をキープしたあと、かかとと腕を降ろしてタダーサナの姿勢に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。




Yumi先生のリードでもう一度つま先立ちになってポーズを取ります。
「それでは、10数える間、ポーズをキープしましょう。」
「いち、に、さん、し、ご、ろく・・・。
「しち、しち、しち、しち、しち、しち、しち・・・。」
会場内が笑いに包まれます。
最初はクスッと。
そのあとだんだん引きつり気味に。
「はち、きゅう、じゅう。では、降ろしま~す。」
会場内には笑いとため息が入り交じります。

息を吸って。吐いて。
胸の前で合掌して、あらためて今の自分の身体を感じてみましょう。
手が温かくなっていませんか?
脚はどうですか?温まりましたか?

カチカチに固まって柔軟性を失った身体がほぐれていくと、重たい上着を脱いだ時のように身体が軽く感じられます。

どうでしょう?
身体が軽くなった気がしませんか?
椅子を使って手軽に楽しめる椅子ヨガ。お家でもぜひやってみてください。

 


Yumi先生のパートはここまで。
後半は高平先生にバトンタッチします。
後半のテーマは「シャンティ♪ シャンティ♪♪ シャンティ~ィ♪♪♪ shantiって?」

謎の言葉(笑)「シャンティ」
その謎を知るために、まずは最初のポーズを見ていきましょう。
 


最初のポーズは「Pranamasana(プラーナマサーサナ)」
英訳は「The Prayer Pose」。祈りのポーズです。
Yumi先生に教わった「タダーサナ」を思い出してください。
先ほどは座って行いましたが、今度は立って行います。

脚を揃えて、両足に体重が均等にかかるように立ちます。
バランスが取りづらい方は、両足の間を腰幅程度に広げてみましょう。
内ももを締め、丹田を締め、背中を伸ばしてあごを引き、視線は正面。

肩の力を抜いて、胸の前で合掌。
肘は左右に張らずに力を抜いて。

鼻から呼吸します。
鼻呼吸が苦しい方は口からでも構いません。
出来るようなら、吸うときは鼻から吸ってみましょう。
まずは2カウントで呼吸。
鼻から吸って、1,2。
吐いて、1,2。

眼を閉じたくなったら眼を閉じて。
時にぐらつくことがあっても、そんな自分を楽しんで。

3カウントで呼吸しましょう。
鼻から吸って、1,2,3。
吐いて、1,2,3。

呼吸が落ち着くと、何だか気持ちも落ち着きます。
焦っているとき、急いでいるとき。
そんなときには、必ず息が荒くなりますよね。
日常の中で、予期せぬ出来事に思わず慌ててしまったとき、このクラスを思い出して一呼吸置いてみてください。
呼吸には、人の心と身体を左右する大きな力があります。
日々の暮らしの中の様々な場面で、ヨガの呼吸を思い出してみてください。

隣の人との距離感を感じるために、手を繋ぎましょう。
手を繋いだままの姿勢で目を閉じて、呼吸を続けます。
鼻から息を吸って、繋いだ手を天井に向けて上げていきましょう。
4カウントでゆっくり。1,2,3,4。
吐きながら、腕を降ろします。1,2,3,4。
息を吸って、もう一度腕を上に。
1,2,3,4。

隣の人と手を離して、出来る方は頭上で左右の手のひらを合わせます。
ヨガで大事なことのひとつは「人と比べない」こと。
かたちにこだわり過ぎずに、自分の気持ちいいところ、身体を伸ばす気持ちよさが感じられるポーズのかたちを探していきましょう。
腕をゆっくり降ろして、胸の前で合掌します。
どうでしょう。
落ち着いてゆったりした気分になりませんか?
それでは腕を降ろしましょう。


さて、これからクラスを進めていくわけですが、今日はまずマントラを唱えます。
「シャンティ、シャンティ、シャンティ~♪」

「シャンティ(Shanti)」という言葉は古代インドのサンスクリット語で、「祈り、平和、至福」と訳されます。
このひとつの言葉の中に、こうした意味合いをすべて含んでいます。

充足した心の境涯であると同時に願いの意を含んだこの言葉は、人が自らの心の内にある欲望を克服するのに如何に苦労してきたかを示唆するものでもあります。
人類の歴史は争いの歴史と言われる中で、それでもなお、人の心の内には他者の幸福を願う清らかなものが存在しているということも。
それは、「シャンティ」を3回繰り返して唱えることにも表れています。

1つ目の「シャンティ」は自分自身に向けて。

2つ目の「シャンティ」は自分の身近な人たちに向けて。

そして3つ目の「シャンティ」は、自分を取り巻くすべてのものに向けて。

折しも、6月21日は国連が制定した「国際ヨガデー」。
2014年9月の国連総会において、インドのモディ首相は「ヨガは平和な社会をつくるための最適の手段」と呼びかけました。
これに応えて、日本を含む世界177か国が賛同して制定されたのがこの「国際ヨガデー」です。

モディ首相曰く「ヨガは身体のバランスを整えるためのただの運動ではなく、自身とこの世界や自然との調和を発見させてくれる、貴重な贈り物である」。

他者を踏み台にして自分だけの幸せを願うのでもなく、自分を犠牲にして誰かを幸せにするのでもなく、すべての人が、すべてのものが満たされた平穏な世界。
そんな世界をイメージしながら、このマントラを唱えてみましょう。
人が想像できることは、必ず人が実現できる。
どこかのコマーシャルでも言ってましたしね(笑)。

唱えるときはしかめっ面ではなく、笑顔で唱えてみましょう。
顔のこわばりを弛めて、眉間のしわをほどいて。

ではいきますよ。

まずは自分に向けて「シャンティ~♪」

次は隣の人のために「シャンティ~♪」

最後はみんなのために「シャンティ~ィ♪」

どうでしょう?
何となく気恥しいような、でもなぜか心がポカポカしてくるような、そんな気分になりませんでしたか?

今日はこの「シャンティ♪」をテーマにクラスを進めていきます。

まずは自分に向けて。
自分自身をハグしていきます。
息を吸って両腕を大きく左右に広げ、吐きながら左右の腕を自分の身体に巻き付けるように、右手で左の肩甲骨に触れ、左手で右の肩甲骨に触れるようにして、自分自身を包んであげましょう。
少し猫背になって、自分自身を愛おしむように抱きしめます。

胸の前では左右のひじが重なり合い、背中で左右の手のひらの温もりを感じます。

息を吸って、もう一度大きく腕を広げます。

息を吐いて、もっともっと自分をきつく抱きしめます。
先ほど胸の前でひじを重ねたときに右ひじが上に来た方は、今度は左ひじが上になるように、左ひじが上に来た方は、今度は右ひじを上にしてみましょう。

それではハグをほどいて胸の前で合掌しましょう。

足は腰幅に開きます。
今度はつま先から脚の刺激を行います。

合掌したまま、8カウントでゆっくりしゃがんでいきます。

先ほどYumi先生に教わった丹田に力を入れて、ゆっくりゆっくりひざを曲げて、お尻をかかとに降ろします。
なるべく背中が丸まらないように、胸を正面に向けておくよう意識しましょう。
頭のてっぺんを天井に引き上げて、肩や腕は力を抜いて楽に。

合掌した手のひらの間には、愛や魂があると言われています。
力まず優しく手のひらを重ねましょう。

ひざが曲がるにしたがって、かかとが浮き上がってつま先立ちになります。

お尻がかかとの上まで降りてきたら、今度はひざを降ろしてマットに付けます。

足の親指の付け根が刺激されているのを感じられるでしょうか。
これを毎日続けていると、足首の柔軟性を高める効果があります。

痛くなってきたら、重心をひざのほうに移して、軽くお尻を浮かせてひと休みしましょう。

 

次に、右足を一歩前に出します。
お尻はかかとに付けたままです。
左足に体重が掛かって、親指の付け根への刺激がさらに強まります。

小指が痛くなるようだと、身体が傾いています。
頭のてっぺんを天井に引き上げるイメージで、身体を中央に戻しましょう。

人によって得意不得意が明確に分かれるポーズ。
笑ってポーズを取る人から、苦悶の表情を浮かべる人まで様々です。

右足を戻して、今度は左足を一歩前に出します。
ちょっと(いや、かなり)痛いけど、その痛さも含めて、自分の身体に起こっていることを観察します。
右と左でバランスの取りやすさが違うとか、前に出した足の位置によって、ぐらぐらしたり安定したり。

ところで、背中は伸びてますか?
肩に力が入ってませんか?


余裕のある方は、左足のかかとを浮かせてみましょう。
さらに右足に体重が掛かって、刺激が強まります。
それでもまだ余裕のある方は、左足を完全に浮かせてみましょう。

左足を降ろして、元の正座の位置に戻しましょう。
集中力を高めるとともに、血行促進にも効果があるポーズ。
左右を入れ替えて、もう一度やってみてください。

それでは、合掌を解いて立ち上がりましょう。
足回りがぽかぽかして、血の巡りが良くなっているのが感じられるでしょうか。


さて、続いては「Utkatasana(ウッカタアーサナ:椅子のポーズ)」
自分の身体で椅子を作ります。いわゆる空気椅子ですね。
太ももが座面で、上半身が背もたれ。
腰かける人をやさしく包み込む、思いやりの椅子を作りましょう。
ここからポーズの説明です。
1. タダーサナ(山のポーズ)で立ちます。

2. 息を吸いながら、両腕を前に振り出して「前へ倣え」。

3. そのまま天井に向けて回し上げていきます。
腕が上がらない方は「前へ倣え」のままでも構いません。

4. 息を吐きながら両ひざを曲げて、少し離れたところにある椅子にお尻の端をちょこんと乗せるようなイメージで、そっとお尻を下げていきます。
下を向いてしまうと背中が丸まってしまうので、目線は前に向けます。
背もたれとなる腕と背中を一直線に伸ばしたまま、お尻を下げて太ももの座面を作っていきます。
目指すところは、太もものラインがマットと平行になるところ。
そこまで行き着けなかったとしても、出来るだけ平らな座り心地の良い座面を目指しましょう。

5. 呼吸をしながらポーズをキープします。

6. 息を吸いながら脚を伸ばし、腕を降ろして.山のポーズ(タダーサナ)に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。
バランスが取りづらい方は、壁を背にして立ち、背中を壁に押し付けながら両足を前に出して、太ももがマットと平行になるところまでお尻を降ろしてみましょう。



ポーズのかたちが分かったところで、今度は組ヨガ。
椅子の上にもう一つ椅子を重ねます。

前後に並んで立ち、まず後ろの方が「椅子のポーズ」。
続いて前の方が椅子のポーズを取りつつ、そっと後ろの方の太ももにお尻を乗せます。

今日のテーマは「シャンティ、シャンティ、シャンティ♪」
2つ目の「シャンティ」は相手のために唱えます。
相手をいたわる気持ちで、そ~っとお尻を乗せていきましょう。

それでは練習開始!
ティンシャの合図で一斉にポーズを取り始めます。

会場内は大盛り上がり。
途切れることなく誰かの笑い声が聞こえてきます。
誰も彼もが笑顔でポーズ。サポーターさんの誘導で、2人から3人、4人と椅子を重ねていきます。

目指せEXILE!
いや、千手観音かな?

こうなってくるともう、しかめっ面をしているほうが難しい。
会場内は完全にお祭りモードです。
最後は割れんばかりの拍手。
組になった人たちに感謝の言葉をかけながら、自分のマットへと戻ります。


次のポーズは「Anjaneyasana(アンジャネーヤアーサナ:三日月のポーズ)」
鼠蹊部を中心に身体の前面を伸ばして円弧を描き、三日月のかたちを作ります。

このポーズには坐骨神経痛を緩和する効果があり、気分を前向きにするとも言われています。
ここからポーズの説明です。
1. マットの中央よりやや前方の位置で立てひざの姿勢になります。
足指の腹をマットに付けて、足の甲をマットから離します。

2. 左足を一歩前に出します。
足の裏全体でマットを捉え、つま先を真っ直ぐ正面に向けます。

3. 右の鼠蹊部を前方に押し出します。
鼠蹊部に力が入っていないと腰を痛めるので、少し痛いくらいに力強く前へと押し出します。
胸は上へ突き上げるように。
腰を反らせるのではなく、胸をせり上がらせて、身体の前側を伸ばすほうに意識を向けましょう。

4. 余裕のある方は、右脚を少し後ろに引きます。
右の鼠蹊部がさらに伸びます。
骨盤が右に開かないように、鼠蹊部をしっかり前に押し出します。

胸を上に突き出して、首の後ろを痛めないよう、あごを引いておきましょう。

ひざに痛みを感じる方は、ひざの中心をマットに押し付けて身体を支えているのが原因なので、右脚を後ろに長く伸ばして、ひざの上の方をマットに付けるようにしてみましょう。

5. 両腕を前から上に回し上げます。
足のつま先から手の指先まで使って、三日月の円弧を描きます。

ゆっくり3呼吸する間、ポーズをキープしてみましょう。
呼吸が苦しいようなら無理をしないで、後ろに伸ばした脚を少し手前に戻しましょう。

6. 腕を降ろして立てひざの姿勢に戻り、左右を入れ替えて行います。
ポーズの説明はここまでです。
はるかな昔、未開人の多くは太陽よりも月を崇めたと言います。
月は夜、光が必要なときに光を与えてくれるありがたい存在だったからです。
そんな月をモチーフにしたこのポーズ。
大地を踏みしめ、天を仰いで、この世界のすべてに感謝を捧げます。

「シャンティ、シャンティ、シャンティ♪」
3つ目の「シャンティ」は、この世界のすべてに向けて唱えます。



身体の前面を伸ばしたので、立てひざの姿勢に戻ったら、今度はチャイルドポーズで休みましょう。
お尻を落として正座の姿勢になり、上半身を前に倒して両腕を前に伸ばします。

お腹がつかえて苦しい場合は、両ひざの間を広げて、太ももの間にお腹が収まるようにしてみましょう。

全身の力を抜いて、リラックスします。
 

本日のクラスもいよいよ大詰め。
リラクゼーションポーズに入っていきます。
マットの上で仰向けになり、「ゴギブリのポーズ」を取っていきます。
殺虫剤を掛けられて、お腹を上にして痙攣するゴキブリをイメージしてみましょう。
ここからポーズの説明です。
1. 仰向けの姿勢になります。

2. 手足を天井に向けて持ち上げます。

3. 「あ~っ」と声を出しながら、手足を揺らしてブラブラさせます。

4. 腕と足がほぐれたところで、仰向けの姿勢に戻ります。
ポーズの説明はここまでです。

照明が落とされ、薄暗くなった会場で、「シャバアーサナ(屍のポーズ)」に入ります。
仰向けの姿勢で、腰幅程度に脚を開き、足先を軽く外側に向けます。
両腕は身体から離して、脇の下に隙間を作り、手のひらを天井に向けます。
腰に痛みのある方はひざを立ててみましょう。
ひざの下にクッションなどを置くと楽になります。
仰向けで痛みや違和感がある場合は、座布団でもブランケットでも、手近にあるものを使ってリラックス出来る姿勢を取りましょう。

自分の心地よいリズムで、ゆったりと腹式呼吸を行います。
吸う息でお腹を膨らませ、吐く息でお腹を凹ませます。
呼吸を繰り返しながら、全身の力を抜いていきます。
何もかも忘れて、掴んでいるものを全部離して、自分のすべてをマットに預けていきます。

今日も「香り:Pukarani」さんから提供された香りが会場を彩ります。
南の島の夜明け。
森を包む霧の中で、朝露に濡れた花のつぼみ。
花開くには少し早いのだけれど、溢れ出す生命の芳香が、朝の涼やかな風に乗って漂っている。
そんな印象の香りでした。

南の島の香りに身を委ねて、脳の中までリラックスさせていきます。

ヨガでは、ポーズのかたちよりもっと大事なものがあると考えられています。
そのうちのひとつが「シャンティ」。
自分に、周りに、そして世界に。
「ありがとう」
そんな気持ちになるのがヨガなんです。
ヨガのクラスの最後に、なぜ「シャンティ、シャンティ、シャンティ~♪」と唱えるのか。
それは、そんな気持ちになるから。
ポーズを極めることよりもずっとずっと大切なこと。
「シャンティ」という言葉には、太古より連綿と続いてきた人間の智慧が息づいているのです。

最後は安楽座の合掌。
もちろん締めは例のマントラです。
「シャンティ~♪」
「シャンティ~♪」
「シャンティ~ィ♪」
拍手と笑いの中に、本日のクラスは終了したのでした。


PROFILE
村上 智彦

村上 智彦

担当部署:業務部

好きなもの:温泉
好きなスポーツ:トレッキング

温泉が好きすぎて、とうとう温泉ソムリエマスターになっちゃいました。
勢い余って、温泉入浴指導員、高齢書入浴アドバイザーの資格も取りました。
トレッキングは好き嫌いというより、歩かないと行けない温泉があるので必要に迫られてというか・・・(笑)。

オッシュマンズはチャレンジド・ヨガの活動を支援しています。
それは人と人との繋がりの賜物。
良いご縁に恵まれて、立ち上げのときからお手伝いさせて頂いております。

スポーツは万人のもの。
それはチャレンジド・ヨガの理念。
そしてオッシュマンズの目指すものでもあります。

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