【My Routine】PATAGONIA REPAIR CENTER | 番外編 #01 WORN WEAR:新品よりもずっといい

2023/06/26 00:00

 
 

 
米国テキサス州ヒューストンに本部を持つOSHMAN’S SPORTING GOODS INC.と業務提携し、その関連会社として1984年12月に創業。翌1985年7月24日に、1号店を原宿駅前にオープン。
「アメリカ生まれのスポーツショップ」として、アメリカンスポーツを中心とした総合スポーツ用品の販売を基本とし、スポーツを核に音楽・ファッションなどの要素を取り込み、スポーツを通して人生を楽しむためのライフスタイルを提案するスポーツセレクトショップです。

現在では 「This Feels Good」を企業スローガンに

―アスリートやスポーツをする人だけの存在じゃない。
「体を動かすことが好き」な人のために
わたしたちはある。
体を動かせば、ココロが震える。
その瞬間を感じてほしい。
汗を流すよろこびを、もっともっと自由に。
みんなのものに。
そしてあたりまえのカルチャーに、
そのきっかけになるのが、オッシュマンズです。―

という想いを胸に、日々の業務にあたっています。

そんな我々オッシュマンズですが、社内には 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 溢れるスタッフが沢山在籍しています。

“My Routine” は、そんな 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 溢れるスタッフたちが、普段の生活の中で感じる “This Feels Good” な時をご紹介する企画です。

ただ今回は少し趣向を変え、オッシュマンズの "社外" に目を向け、オッシュマンズと関係のある企業やそこで働く人々に焦点を当てた "番外編" をお届けいたします。

この "My Routine" の企画・記事を通して “オッシュマンズ” のことを少しでも知って頂ければと思っています。

 

番外編 #01
名前(企業)・・・パタゴニア 日本支社
担当(部門)・・・リペア

 

はじめに

2021年7月にはじまった、この "My Routine" 企画ですが、これまで計14本の記事を作成。

作成した記事では、 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 が溢れるオッシュマンズスタッフが普段の生活の中で感じる “This Feels Good” な時をご紹介し、オッシュマンズが考える、スポーツを核に音楽・ファッションなどの要素を取り込み、スポーツを通して人生を楽しむためのライフスタイルをみなさまへシェアしてきました。

(過去記事はこちら ⇒ THIS FEELS GOOD

今回は、その "My Routine 企画" で初となる "番外編" をお届け!

記念すべき "番外編" のトップバッターを飾ってくださるのは、みなさまご存知、カリフォルニア州ベンチュラ生まれのアウトドアブランド 「patagonia(パタゴニア)」 の日本支社の方々です。

先月5月、弊社オッシュマンズのスタッフ研修も兼ねてパタゴニア日本支社の "リペアセンター" を見学させていただく機会がございました。

"レスポンシブル・カンパニー" と呼ばれる 「patagonia(パタゴニア)」 がここ数年でもっとも注力している "サーキュラリティ(循環性)" の取り組みにおいて重要な施設である "リペアセンター" 。

その "リペアセンター" の見学を通じて 「patagonia(パタゴニア)」 が一体どういった企業で、またどんな取り組みを行っているかを今回の "My Routine 番外編" でお届けできればと思います。

 

patagonia(パタゴニア)

オッシュマンズユーザーのみなさまであれば、誰しもが知っている 「patagonia(パタゴニア)」 。

創業から今日に至るまで、数多くの "名品" を生み出し、今現在1,000を超えるオシュマンズの取り扱いブランドの中において一二を争う人気ブランドです。

(かねてよりオッシュマンズでも取り扱いのあった同社の製品。1990年12月掲載の 『OSHMAN'S TIMES』 より)

(創業者イヴォン・シュイナード氏ご本人より、20周年をお祝いするメッセージを頂戴したことも)

ブランドのルーツであるクライミングをはじめ、サーフィンやトレイルランニング、フィッシング、スキーなど、オッシュマンズで過去展開してきたカテゴリーでも共通する分野が多く、その各分野において、革新的な製品の開発やあらゆる問題にも積極的に行動を起こす "リーディングカンパニー" でもあります。

(クライミング中のイヴォン・シュイナード氏:写真左。当時製造していたピトン:写真右。)

「patagonia(パタゴニア)」 創業者のイヴォン・シュイナード氏は10代でクライミングをはじめ、クライミング仲間からも定評があった手作りのクライミングギアを販売する傍ら、1960年代には "クライミングの聖地" とよばれるヨセミテの地で日々クライミングに明け暮れ、その時代のクライミングシーンをリードするロッククライマーとして知られる存在に。

(パタゴニアの歴史を説明するホールセール部門の太田さん。写真はパタゴニアの前身シュイナード・エイクイップメント社時代のもの)

イヴォン・シュイナード氏は同時期に、クライミングの際に岩に打ち付けて落下を防ぐ 「ピトン」 を中心としたクライミングギアの製造・販売する 「シュイナード・イクイップメント社」 でビジネスを開始。同社の製品は業界内で評判を呼び、1970年頃にはアメリカ最大のクライミングメーカーへと成長。

会社も成長し順風満帆に思えたある日、イヴォン・シュイナード氏は 「シュイナード・イクイップメント社」 の主力商品である 「ピトン」 が岩壁を傷つけてしまっていることに気付き、状況を変えるための行動を起こします。

(今年50周年を迎えた同社は、次の50年に向けたメッセージを込めたグラフィック・Tシャツを展開)

( 1970年代の "クリーンクライミング革命" のマスコット 「Mr.Hex」 。今シーズンのグラフィック・Tシャツ製品にも登場)

当時シュイナード・イクイップメント社で最も人気を誇っていた 「ピトン」 の製造を中止、岩壁を傷つけない製品 「ナッツ」 や 「チョック」 への切り替えをユーザーに求めたのです。

これが "クリーンクライミング" のはじまりであり、また 「patagonia(パタゴニア)」 という企業の "価値観" が生まれた瞬間でもあります。

 

"Worn Wear" 新品よりもずっといい 

パタゴニア日本支社は2022年1月に "循環性" を意味する 「サーキュラリティ」 という部門を新設。 

こちらの部門では 「リペア」 「リユース」 「リサイクル」 に注力。

(現代の衣料品を取り巻く環境を説明する、サーキュラリティ部門 リペアマネージャー 林さん)

パタゴニアの考えるサーキュラリティは 「製品の寿命を最大限に延ばし、そして製品寿命の終わりで責任を取ること」 と話すのは、今回訪問させていただいたリペアセンターで勤務するサーキュラリティ部門 リペアマネージャーの林さん。

林さんが所属するサーキュラリティ部門をはじめ、パタゴニアでは、製造から廃棄までが一直線の "リニア(直線型)" となっている現代の状況から、「原材料」、「製造」、「使用」、「リサイクル」の過程の中で 「廃棄」 を生むことなくサイクルを回す "サーキュラ―(循環型)" へのシフトチェンジに取り組んでいます。

(パーツや素材の種類・色ごとに分けられた補修用素材のストック)

(ベルクロ部分の補修中)

(生地の破れや摩耗などによる浸水の故障が多い "ウェットスーツ" 。修理の頻度はアウトドアウェアよりも多いとのこと)

(損傷の程度を見極め "リペア(修理)" を施す職人技)

(フィッシング用のウェーダーのリペアも対応)

同社の運営するリペアセンターは、製品が製造されてからリサイクルに至るまでの期間をできるだけ延ばし、製品を長期間活用できるようにするための文字通り "リペア(修理)" に特化した施設。

(ホールセール部門 セールスレップ アシスタントマネージャー 梅原さんによる製品説明)

(ホールセール部門 根本さんによる製品説明)

まずは "必要ないものは買わない" という消費を減らすことが大前提で、まだ使えるものは "リペア(修理)" するというのが基本的な考え方。

また同社が、会社としてできる "最も責任あること" のひとつとして考えているのは "製品の質を高め、長持ちする製品を作る" こと 。

こうすることで衣類の寿命を平均9カ月延ばすことでき、環境負荷の20~30%を抑えられるといいます。

「patagonia(パタゴニア)」 は、この衣服の寿命を延ばすためのプログラムを ”Worn Wear" と呼び、本国アメリカからはじまったこの取り組みは現在日本各地にも広がっています。

 

"Worn Wear" イベントの開催

昨年9月に千葉県いすみ市で開催された 「オッシュマンズ キャンプ」 では、 "製品の寿命を延ばす" ための一つのアイデアとして "Tシャツで作るマイバック" のワークショップを行っていただきました。

このワークショップでは、"縫製不要" "ハサミのみ" で着古したTシャツからエコバックを作る "アップサイクル" を提案。(ハサミで、裾の部分をカット)
(カットした前身頃と後ろ身頃を結ぶ)

(エコバック完成)

この "Tシャツで作るマイバック" のイベントは、上記のオッシュマンズキャンプ以外にも、2022年10月に兵庫県西宮市の阪急西宮ガーデンズにオープンした 「オッシュマンズ西宮店」 や 神奈川県川崎市のグランツリー武蔵小杉にて展開している 「オッシュマンズ武蔵小杉店」 で開催。

その際も多くの方にご参加いただきご好評いただきました。

 

自分でもできる "Worn Wear" の取り組み

(リペアセンター 武石さんに "リペア・パッチ" の使い方をレクチャーしていただきました) 

"リペア(修理)" は必ずしもリペアセンターに送るという選択肢だけではありません。

破損個所の大きさや程度によっては、自身の手で修理を行う ”セルフリペア" という手段もあります。

("リペア・パッチ" のサンプル)

"セルフリペア" では、主に "リペア・パッチ" や "リペアテープ" を使用して、破損個所を補修していきます。

(破損個所の大きさを確認)

("リペアパッチ" で補修)

リペアセンター 武石さんご指導の下、実際にオッシュマンズスタッフも "セルフリペア" に挑戦。

(破損個所の位置や素材によって "リペアパッチ" の貼り方にちょっとしたコツがある)

(教わったポイントを一つひとつ確認して...)

("リペア・パッチ" を貼り付ける)

こうした "セルフリペア" で自身のウェアを "リペア(修理)" することにより、少しでも長く製品を使用することが可能になります。

みなさんも愛用しているウェアが損傷した際は "セルフリペア" にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

"リペアセンター" 見学を通じて感じた「ポジティブなこと」や「This Feels Good」なことは?

今回のリペアセンター見学を通じて 「patagonia(パタゴニア)」 がどんな企業で、そこで働く人々がどういった "想い" で日々の "Routine" である業務にあたっているかを肌で感じることができました。

"リペアセンター" を実際に見学したスタッフからはこんな言葉も。

「物をしっかり選び、選んだ物を大切にすること。そして、その選ぶという行為に自分の業務が関わっていることの責任。その責任を持って、お客さまにご案内をするということを再認識しました」

「1点 1点、本当に丁寧な修理をされたり、1つの製品の修理に何人ものスタッフの方が話し合いをしていたりと、とても感動しました。私自身もこの修理工程を知ったら、今あるものを大切に着ようとより思うようになりました。オッシュマンズにご来店されるお客さまにも "リペア(修理)" の必要性、また、パタゴニアさんの丁寧な "リペア(修理)" の様子をお伝えしたくなりました」

「"お客様にとっては 1点ものなので" というリペアセンターで働く方の想いや、持ち込まれた修理品との差がでないように、補修用素材の色や素材をしっかり選んだり、針穴を増やさないように元のステッチの針穴を通すなどの丁寧な作業など "物を大切にする" 姿勢を実際に見て、ここで働く人たちが作った製品を自分の店舗でも自信を持っておすすめしたいと思いました」

今回、環境問題においても他の企業をリードしていく 「patagonia(パタゴニア)」 の リアルな現場 "リペアセンター" を見学させていただき、先ほど紹介させていただいた弊社スタッフの言葉からもお分かりいただけるように、我々オッシュマンズにとって多くのことを学ぶ機会となりました。

オッシュマンズでは、年に2回 "サステナブル月間" という期間を設け、"選ぶことで、未来は変わる" というテーマのもと、どうしたら持続可能な社会にしていけるかを考え、我々を取り巻く環境・社会の未来へ向けた取り組みを微力ながら行ってきました。

今回のリペアセンター見学で学んだことから、改めて我々オッシュマンズとしてできることはないか再考し、これから先の未来が "This Feels Good" な未来になるように、オッシュマンズらしい形で、環境・社会に向けた取り組みを行っていければと思います。

 

編集後記

今回はじめての試みとなった "My Routine 番外編" はいかがでしたか。

今回のリペアセンター訪問を通じて、 「patagonia(パタゴニア)」 で働く方々は "We're in business to save our home planet.(私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む)" という同社が発信するメッセージをスタッフ一人ひとりが強く心に刻み、当事者意識を持ってあらゆる問題に対して向き合い、そして行動している、という印象を受けました。

(事務所の壁に飾られていた、新たに仲間となった人へ受け継がれている言葉)

本編では触れられませんでしたが、「patagonia(パタゴニア)」 では "サーキュラリティ(循環性)" と同様に、農地の土壌をただ健康的に保つのではなく、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げることを目指す "リジェネラティブ農業(環境再生型農業)" という取り組みにも注力しています。

研修当日、定期的にケータリングを依頼しているという "リジェネラティブ農法(環境再生型農業)" の食材を取り入れた飲食店のお料理を一緒にいただきました。

(すべて穀物・野菜で作られた "ベジチリコンカンライス")

(休日はもっぱらクライミングに出掛けるという マーチャンダイジング 吉武さん を囲んでのランチ)

食事の際に使う、お皿、カップ、カトラリーはもちろん "マイカップ" に "マイ箸" 。

こういった何気ないことを含め、 「patagonia(パタゴニア)」 の "質(Quality)"、"誠実さ(Integrity)"、"環境主義(Environmentalism)"、"公正さ(Justice)"、"従来のやり方にとらわれない(Not Bound by Convention)"  という同社のコアバリューをパタゴニア日本支社で働く方々の "Routine" からも垣間見ることができました。

今回ご紹介したオッシュマンズに関係のある企業やそこで働く人の中にも 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 に溢れる方々がまだまだ沢山いらっしゃいます。

今後もこの “My Routine” を通して、私たちオッシュマンズスタッフをはじめ、オッシュマンズと関わりのある企業やそこで働く人々の “This Feels Good” な瞬間もご紹介していきたいと思います。
 
次回も乞うご期待。