【My Routine】SAKASHITA HIROFUMI (OSHMAN'S SHINJUKU SHOES MDM) #03 シューズを心の底から愛する男の「こだわり」

2021/08/24 00:00

 
 

米国テキサス州ヒューストンに本部を持つOSHMAN’S SPORTING GOODS INC.と業務提携し、その関連会社として1984年12月に創業。翌1985年7月24日に、1号店を原宿駅前にオープン。
「アメリカ生まれのスポーツショップ」として、アメリカンスポーツを中心とした総合スポーツ用品の販売を基本とし、スポーツを核に音楽・ファッションなどの要素を取り込み、スポーツを通して人生を楽しむためのライフスタイルを提案するスポーツセレクトショップです。

現在では 「This Feels Good」を企業スローガンに

―アスリートやスポーツをする人だけの存在じゃない。
「体を動かすことが好き」な人のために
わたしたちはある。
体を動かせば、ココロが震える。
その瞬間を感じてほしい。
汗を流すよろこびを、もっともっと自由に。
みんなのものに。
そしてあたりまえのカルチャーに、
そのきっかけになるのが、オッシュマンズです。―

という想いを胸に、日々の業務にあたっています。

そんな我々オッシュマンズですが、社内には 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 溢れるスタッフが沢山在籍しています。
“My Routine” は、そんな 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 溢れるスタッフたちが
普段の生活の中で感じる “This Feels Good” な時をご紹介する企画です。

今回は、シューズを “心の底から愛する” 名物スタッフが登場!
オッシュマンズスタッフの中でも、一二を争う "シューズ好き"の彼の自宅にもお邪魔してきました。
ぜひ、彼の熱すぎる 「シューズ愛」 「こだわり」に触れてみて下さい!

 

# 03
名前・・・SAKASHITA HIROFUMI
年齢・・・39歳
OSHMAN'S歴・・・10年
担当・・・OSHMAN'S SHINJUKU SHOES MDM

簡単に自己紹介(仕事、趣味など)をお願いします。

兵庫県宍粟郡出身(現在は宍粟市)

幼少期は大自然に囲まれた環境で、登山や釣りに没頭していました。

 

10代の頃に "ザ・ブルーハーツ" の甲本ヒロト氏に憧れバンドを結成。

ロバート・デ・ニーロ主演映画 「タクシードライバー('76年公開)」に衝撃を受け俳優を志し上京。

俳優学校で下積みを送るも目が出ず、その後も様々なオーディションに挑戦もことごとく完敗。

最後と決めて受けた大手会社のオーディションでは、最終まで行くも落選。

 

その頃、友人と何気なく足を運んだ町田駅周辺の "とあるお店" で、若かりし頃、夢中になった "カルチャー" を思い出しました。

"雰囲気" のある店内、いかにも "モノ好き" そうなスタッフ...

その "とあるお店" というのが 「オッシュマンズ町田店(2015年 閉店)」でした。

当時の私にとって、そこはまるで "アメリカ発信基地"のように感じたのを覚えています!

(1985年∼2017年まで原宿店駅前で営業していた、旧オッシュマンズ原宿店。)

青春時代、カルチャー誌 『BOON』で育った私の思考。

雑誌で見ていた憧れのショップが 「オッシュマンズ」でした。

 

何気なく足を運んだ 「オッシュマンズ町田店」で、中学生の時に修学旅行で訪れた 「オッシュマンズ原宿店」を思い出し、あの頃の熱い想いが再び自分の中に蘇ってきました。

(旧オッシュマンズ原宿店の最終日、2017年2月26日。 最後のお客様を見送ってからの一枚。)

その後、縁あって憧れのショップへ入社することとなり、二子玉川店、原宿店を経て、現在の新宿店に至ります。

(先輩スタッフから譲り受けた "オッシュマンズ 10周年記念" のポロシャツ)

純粋だった気持ちを再び思い出させてくれたオッシュマンズ。

私自身、憧れのショップの一員になる事で皆様にオッシュマンズの根源である "アメリカンカルチャー" を「お届け」、「発信」、「提案」をしていきたいと思っていますし、オッシュマンズはそういうショップだと思っています。

  

日ごろ"Routine"にしていることは?

私はシューズコレクターではありません。 必ず使用します。

昔は限定品や希少価値が高いモノ、さらにはデザイン重視で選ぶことも多かったですが、今は "機能性"。

一番たまらないのは機能性が伴ったデザイン美。

私の言い方では "機能美"。

この "機能美"に出会った時、私はテンションが高くなりすぎて周りにいる人が引いてしまうほどです。 笑
(結婚式の引き出物の紙袋と写真。 参列者のドレスコードは "自分の中で一番お気に入りのスニーカー")
(結婚証明書の代わりに参列者にサインしてもらった 「コルテッツ」)

幸い妻もシューズが好きなので、理解してくれています。

むしろ良いシューズを 「どちらが先に見つけるか」、「どちらが先に購入するか」で競い合っています。笑

そして購入した暁には、"自慢" と言う名のプレゼンが始まります。
少し話しが逸れましたが...

"機能美" の意識が高くなった理由は、シューズと車が似ているからです。(男性であれば、小さい頃、車に夢中になった方も多いのでは?中でも、好きだったのが "働く" 車でした。)
 
車は人を運ぶ、動かしてくれる。 シューズも同じことが言えませんか?ソールがタイヤでアッパーがボディ、そしてエンジンはその人のハートではないでしょうか。

山用、雨の日用は4WDジープ、シューズで例えるとトレッキングシューズ。

高級なクラッシックカー、シューズで例えるとニューバランスのシューズ。

スピード重視のレーシングカー、シューズで例えるとランニングシューズ。(今、ここが一番面白いカテゴリー!テクノロジー合戦!!)

シューズは車と同じ、車より小さいけどテクノロジーの塊。それに触れると私は興奮します。
アウトラインモデル(限定モデルやコラボレーションモデルなど)より、インラインモデル (広く一般に流通する製品)の方が面白い。

それはなぜか... 機能性が理にかなっているから。

 

シューズは、その人の人生観を変える "フットギア" です。

私自身シューズを購入したら必ずフィールドで使用し、その感想をメモに残しています。 

シューズは機能の塊です。メーカーさんもそのつもりでモノ作りをしていると信じています。

なので、実際に試して得た “リアルな感覚" は私の財産です。
 

せっかくなので、お気に入りのシューズを教えて下さい。

私のシューズ人生を変えたのが、NIKEの 「AIR MAX 95」(広末涼子さんが表紙の 雑誌『BOON』は輝いていました。)
 
何と言っても 「AIR MAX 95」のデザインは衝撃的で 「NIKE、マジかっこいい!」 とシンプルに思ったのと、開発エピソードや、そこに至るまでの歴史が私を興奮させました。
こんな小さいモノの中に、開発者の情熱や人々の想いが詰め込まれている。

その情熱や想に触れた瞬間、毎回鳥肌が立ちます。

 

私はその衝撃的だった "一足のシューズ" との出会いから 「シューズの世界」にどっぷり入っていくことになります。
(野茂英雄氏が在籍していた "近鉄バッファローズ" のキャップを被りながら、「NOMO MAX」 について語る)

そんな 「シューズの世界」に入った私を興奮させるシューズがありました。

"日本人初" のシグネチャーモデル 「NOMO MAX」です。

これは、買わない理由が見当たりませんでした。( "大谷さん" のシグネチャーモデルも今後期待)
(部屋の壁にぎっしりに積まれた "シューズボックス"。 これは "ほんの一部" とのこと。)

一時、所有スニーカー数が "3000足" を超えました。

スニーカー保管の専用アパートを借りていた時もありました。

 

そんなある時、ふとこんなことを考えました。

「本当の履き心地とは」

デザインは大切、しかし機能性はもっと大切。

そんな考えの中、私を虜にさせたブランドがあります。
それが  「NEW BALANCE (ニューバランス)」でした。

正直高いです。以前より値上がりもしました。

ただ、自身年を重ねたからでしょうか "本当に良いモノとは" と考える様になった時、それはデザインではなく、シューズの原点 "機能性"だと言う答えに辿り着きました。

ニューバランスのシューズは品番によってそれぞれ個性があり、その品番ごとの "表情 (=機能性)" を見て、体感して私は興奮します。

「1300JP」、「992」、「993」、「990V5」... 数えあげればきりがありませんが、ニューバランスのシューズ作りは私を虜にしました。

履いた事ない方がいたら、ぜひ履いて下さい。純粋な気持ちで。

他に勝るモノがないような履き心地を体感してみて下さい。

ニューバランスへの "こだわり” はまだ続きます。

それは 「MADE IN USA」。

90年代のアメカジかぶれの私は、この言葉を目にするとよだれが出てしまいます。

ただ 「MADE IN USA」で誤解されることが多いですが、品質が(日本製に比べて)良いわけではないと個人的には思っています。

それでも私は 「MADE IN USA」に "こだわり" があります。
それはまさに、ニューバランスのブランド自体が体現しています。

大量生産やコストダウンに逃げないニューバランスの企業姿勢。

これに私は魅力を感じ、共感しています。

「本物とは何か」、「本質とは何か」 それを今でも伝えてくれていると思っています。

 

雇用を作って自国で生産し、世界に発信する。

アメリカの工場では家族や親族、代々働いている方も多いそうです。

まさに "アメリカのカルチャー" に触れて作られるシューズ。

こういうコトに対して、モノを通して触れる瞬間がたまりません。
(厚底シューズの火付け役 「HOKA ONE ONE (ホカ オネオネ)」のホバークラフトの要素を取り入れたハイキングブーツ)

そして、テクノロジーという視点からシューズを見た時に、カーボン搭載の厚底ランニングシューズを各社リリースし賑わいを見せる
ランニングシューズ業界も魅力的です。

 

世界的に有名な大会などが行われると 「人類最速は誰が出すのか」、「どこのブランドのシューズを着用して出たのか」 に話題が集まります。

この "厚底ランニングシューズ" に異議を唱える方も多いです。

「あれは反則では」、「卑怯じゃないか」、「あれで記録と言えるのか」など様々な声があります。

 

しかしそんな声を一喝したのが、"陸上短距離界のレジェンド" カール・ルイス氏。

私は興奮しました。彼の言葉には説得力があります。

 

彼が語っていた話しの中で、印象的な言葉が...

「テクノロジーの恩恵は当時からあった、今に始まったことではない」

選手からのフィードバックを基に開発された "イノベーションシューズ"。

それを形に出来るブランドこそ、人類の未来を見ていると思います。

 

また、厚底シューズは単にスピードを求めるモノとしてだけでなく、選手の素早い疲労回復を促し、競技人生を長くする役目を担っています。
改革は必要です。どの業界にも。今までの当たり前は、これからの当たり前じゃない可能性も。

「HOKA ONE ONE (ホカ オネオネ)」 は、そのことを教えてくれたシューズブランドです。

 

世に出始めた頃は "異端児"。その存在を疑問視する方も多かった同ブランド。

しかし、現在はどうでしょう。

このブランドがランニングシューズ業界の当たり前を作ってしまった。

頑張らなくても前に進む 「タイヤの原理」。この発想は人々の足元を救っています。

 

普段、大切にしているコトを教えて下さい。

シューズは、ただの履き物ではありません。

歴史を刻む標本の様な部分もあります。

ファーストがあるからセカンド、サードとアップデートが続いて行きます。

(写真右 : AIR MAX 96 XX 、 写真左 : AIR MAX 96ⅡXX)

例えば、NIKEの 「AIR PEGASUS」

誕生は1981年、その後アップデートが重ねられその歴史はなんと38代目。

ニューバランスに至っては、80年代や90年代に開発された 「1300」 や 「1400」 更には 「576」や 「996」 など、名機達が今なお愛され続けられながらも、進化していく 「990シリーズ」などのテクノロジー、"機能美" は垂涎モノ。

新しいブランドでは 「HOKA ONE ONE (ホカ オネオネ)」 や 「On (オン)」 など、見た目からでも分かる "機能美" は近年のシューズ業界を盛り上げていると思います。

(上:当時のオッシュマンズシューズバイヤーが企画に携わった 「ONE STAR J VTG」)
(左下:'86年にデビューし当時のNBA選手がこぞって着用した、レイカーズカラーの 「WEAPON HI」)
(右下:'88年に登場した 「CONS ERX 400 HI」をベースに、新機能を搭載した 「ERX-400 EW HI」)

(大人気バスケットボール漫画 「スラムダンク」の三井寿が履いていた 「ファブレ ジャパン L」 も所有。)

起源があるからシナリオは続いて行く。更なる良いモノを。

それは人々の生活が豊かになる為にというメーカーさん想いがある。

だから私はシューズを履き潰さない。履き潰す文化は私には存在しません。

後世に残す為、未来の為に私はシューズを大切に維持して履いています。

シューズを履き潰さずに、長く履くためにも大切にしているコトがあります。

それは、"シューケア”。

愛用しているのは 「ジェイソンマーク」のシューケアアイテム。

これが私のシューズ愛を、更に深めて行きました。

加水分解などで、いつか寿命は来ます。

しかしその運命に少しでも抵抗するのが、シューケアだと私は思います。

買った時のあの気持ち、モノを大切にする意識。

大量生産、大量消費の時代はもう終わり。

一つのモノを大切に使う美学。

ローテーションすることで一つに負担をかけない。

一足を長く、ローテーションを多く。

目的、スタイル、その日の気分でシューズを選ぶ楽しさ、毎日が楽しくなります。

 

最後に、日ごろのRoutineを通して感じている「ポジティブなこと」 や 「This Feels Goodなこと」は?

シューズを通して仲間が出来ること、コミニティが生まれることです。

マニアックな友人もいれば、程々の友人も。

各々見ている箇所、背景など全然違いますが、共通点は "こだわり"。

"こだわり" が無ければ "モノ" は誕生しない、"機能美" は生まれない。

一つ間違ってほしくないのは 「こだわり = 限定品」ではないと言う事です。

希少価値が高いから良いモノという訳ではないと私は思います。

(お気に入りのシューズの一つ。 KEENの 「NEW PORT H2」)

実感して初めてモノの良さは伝わってくると思っています。

それがインラインのアイテムでも、それをどのように格好良く使うか。

そこに美学がある様に思います。

「人が持っていないからすごいだろ」 ではなく、自分ならこのアイテムをどう編集するか。

それがモノを購入する醍醐味だと私は思います。

(お休みの日は、"延べ竿" を持ってフィールドに出掛ける日々)

(フィールドで使用するギアの数々)

いつも私は、シューズを買う前に想像をしてしまいます。

買って、実際に使って、その想像をはるかに超えた時、私の 「This Feels Good」な瞬間が訪れます。

シューズを試す前日には、豆を挽き、ハンドドリップで淹れたコーヒーを飲みながら、シューズを使用した時のことを想像します。

コーヒーは豆から。

銘柄は 「エメラルドマウンテン」。

甘みと深いコク。これが最高。

何事も "こだわり"が大切。

 

編集後記

今回で、第3回目を迎えた "My Routine" の記事はいかがでしたか?

普段から "熱量" が凄まじい、オッシュマンズの名物スタッフの一人。 

そんな彼の実体験に裏打ちされた "リアルな感覚"を基に展開されるシューズトーク。

まだ体験されたことがないという方は、ぜひ一度、新宿店に足を運んでみて下さい。

今回ご紹介したスタッフの他にも 「魅力」 と 「個性」、「エネルギー」 に溢れるスタッフがまだまだ沢山在籍しております。

今後もオッシュマンズスタッフの “My Routine” を通して、普段の生活の中で感じる “This Feels Good” な時をご紹介していきたいと思います。

次回も乞うご期待。